本資料は11月3日にドイツ・バイエル社が発表したプレスリリースを日本語に翻訳したもので、報道関係者各位へ参考資料として提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語を優先します。原文はwww.press.bayer.comをご参照ください。
バイエル:厳しい第3四半期 ― グループの業績予測を確認
- グループ売上高は前年同期比5.1パーセント減(為替・ポートフォリオ調整後)の85億6百万ユーロ
- 特別項目計上前EBITDAは前年同期比21.4パーセント減の17億95百万ユーロ
- クロップサイエンス部門は季節性および為替による影響を大きく受け、売上高および利益が大幅に減少
- 医療用医薬品部門の事業は回復基調 - 利益は増加したが、売上高はわずかに減少
- コンシューマーヘルス部門は力強い業績
- 当期純損失は27億44百万ユーロ - クロップサイエンス部門における減損費用、動物用薬品事業の売却益
- 1株あたりコア利益は前年同期比30.2パーセント減の0.81ユーロ
- フリー・キャッシュフローは前年同期比2.1パーセント減の12億37百万ユーロ
ドイツ レバクーゼン、2020年11月3日 ― 季節的要因による厳しい第3四半期をうけて、バイエルは、2020年度通年の目標を確認した。ドイツ・バイエル社社長ヴェルナー・バウマンは、火曜日に行われた決算報告において「低調な四半期およびパンデミックの大きな影響にもかかわらず、当年度1-9月における当社の為替・ポートフォリオ調整後の売上高と1株あたりコア利益は、厳しいコスト管理と組織構造対策の加速により、前年同期と同水準となりました。したがって私たちは、2020年の為替調整後グループ業績予測を確認できます」と述べた。CFOのヴォルフガング・ニックルは業績を要約して「農業関連事業は厳しい四半期となり、医療用医薬品部門の事業は回復、コンシューマーヘルス部門は力強い成長を見せました」と述べた。パンデミックの中、社員の安全は引き続きバイエルにとって最優先事項である。また私たちは、患者さん、生産者、消費者の方々に、私たちの製品、特に命を救う医薬品を安定して供給し続けられることを確保するため、さまざまな安全対策を講じている。
ニックルは「パンデミックの影響により、当社のクロップサイエンス部門にさらなる負担がかかっています。私たちは、世界第2位の規模をもつ農業市場での事業に重い影響を与えているブラジル・レアルの大幅な下落など、為替のマイナス影響にも直面しています」と述べた。農業関連事業における逆風を考慮して、当社は、9月30日に発表したとおり、同部門において現金支出を伴わない減損費用を計上した。
AskBio社の買収により長期成長見通しを強化
バイエルは先週、Asklepios BioPharmaceuticals社(以下、AskBio社)の買収を発表し、当社にとって非常に重要な戦略的ステップを踏み出した。AskBio社は米国に本社を置き、さまざまな治療領域にわたる遺伝子治療の研究、開発、製造を専門とするバイオ医薬品企業である。バウマンは「この買収は、細胞・遺伝子治療における当社の立場を大幅に強化するものです。バイエルは健康と農業において、バイオ革命の長期的なイノベーションの潜在力を生かすことで、他のほとんどの会社より優位な立場にあります。その結果として、気候変動の影響を受ける世界で2050年までに最大100億人となる人々にどのように食糧を供給することができるか、また増え続ける高齢者の生活の質をどのように確保することができるかといった、人類が直面する最も差し迫った課題のいくつかの解決に対して重要な貢献をしています。これらの課題への答えを見つけること - それこそが、私たちの魅力的な長期的成長見通しを支えるものです」と述べた。
第3四半期のグループ売上高は、為替およびポートフォリオの調整後ベース(以下「為替・ポートフォリオ調整後」)で5.1パーセント減少し、85億6百万ユーロとなった。グループの特別項目計上前EBITDAは21.4パーセント減少して17億95百万ユーロとなった。この数値には為替のマイナス影響205百万ユーロが含まれていた。EBITは、クロップサイエンス部門における無形資産(のれんを含む)の現金支出を伴わない減損費用(合計で92億51百万ユーロ)を考慮した後で、マイナス93億99百万ユーロ(2019年第3四半期:プラス12億8百万ユーロ)であった。
EBITには、前述の減損費用およびグリホサート訴訟の一環として将来発生し得る「ラウンドアップ®」訴訟に関連する引当金に関する特別項目の純損失額101億81百万ユーロ(2019年第3四半期:13百万ユーロ)が含まれていた。その他の特別損失は、進行中の事業再編プログラムと、医療用医薬品部門における訴訟によるものであった。当期純利益はマイナス27億44百万ユーロ(2019年第3四半期:プラス10億36百万ユーロ)であった。第3四半期の継続事業からの1株あたりコア利益は30.2パーセント減の0.81ユーロだったが、1-9月は前年同期と同水準の5.07ユーロであった。
フリー・キャッシュフローは第3四半期に2.1パーセント減少して、12億37百万ユーロとなった。2020年9月30日現在の純金融負債は282億68百万ユーロであり、2020年6月末から21.5パーセント減少した。これは主に動物用薬品事業の売却益によるものである。
クロップサイエンス部門は高い返品率が影響
農業関連事業(クロップサイエンス部門)では売上高が11.6パーセント減(為替・ポートフォリオ調整後)の30億28百万ユーロに減少した。事業は特に北米地域において減少したが、一方でアジア・太平洋地域では売上高は増加した。全世界でのトウモロコシ種子および形質の売上高は39.9パーセント(為替・ポートフォリオ調整後)減少した。これは特に北米地域において、今年のトウモロコシの作付面積が予想を下回ったことに起因する返品率の上昇とライセンス収入の減少により、売上高が大幅に減少したためである。除草剤の売上高は、力強かった前年同四半期と比べて、12.7パーセント(為替・ポートフォリオ調整後)減少した。事業は主として北米地域で落ち込んだが、前年度の同地域は、上半期の異常気象により売上高が第3四半期にシフトしていた。
大豆種子および形質の売上高は、中南米地域の成長が北米地域における販売量の減少を相殺したため、前年同期と同水準(為替・ポートフォリオ調整後:0.2パーセント増)となった。殺菌剤の売上高は、すべての地域における成長により、12.0パーセント(為替・ポートフォリオ調整後)増加した。中南米地域では、バイエルは主としてブラジルにおいて「Fox XproTM」製品への市場転換の恩恵を受けた。
クロップサイエンス部門の特別項目計上前EBITDAは、マイナス34百万ユーロ(2019年第3四半期:プラス500百万ユーロ)に減少した。この減少は、主として返品率の動向に起因する、北米地域での売上高の減少が主な要因であった。為替のマイナス影響も123百万ユーロもあった。
10月には、多くの米国の生産者にとって重要な雑草防除法である「VaporGripTM」テクノロジーを用いたDicambaベースの除草剤「XtendiMaxTM」について、同国の環境保護庁(EPA)が新たな5年間の登録を発表するとの明るいニュースがあった。このニュースは、Dicambaの使用を禁止した6月の米国裁判所の決定に伴う不確実性に終止符を打つものである。
グリホサート含有の「ラウンドアップ®」製品が関与する訴訟では、約88,500件の請求がなされており、完全に履行済みの基本和解合意(MSA)、今後履行されるMSA、または原則的合意のいずれかの対象となっている。6月末現在、バイエルは、約125,000件に上る提訴済みまたは未提訴の請求があると報告していた。提訴の適格性および訴訟の参加に関する不確実性を考慮すると、この数字は和解プロセスが完了するまで確定されないと見込んでいる。当社は将来発生し得る「ラウンドアップ®」関連の請求に対処するため、原告代理人とともに共同提案の検討にも引き続き取り組んでおり、またすべての当事者が満足できるように、裁判所から提起された問題への対処に誠実に取り組んでいる。前進はしているものの、このプロセスの完了にはもう少し時間がかかると見込んでいる。バイエルは、変更後のクラス・プラン費用の増加分を埋め合わせるため、第3四半期に追加引当金を計上した。これは、十分に交渉を重ねた上で、新たなプランが当初の費用12億5百万米ドルを超えて約20億米ドルとなると認識しているためである。当社は、正式合意の完了時に仮承認の申立てを行う予定である。
医療用医薬品部門は利益が増加
処方薬(医療用医薬品部門)の売上高は、1.8パーセント減(為替・ポートフォリオ調整後)の42億29百万ユーロに減少した。中国では、「グルコバイ®」および「アベロックス®」の新たな入札手続の実施に伴うマイナスの影響が、「グルコバイ®」の大幅な販売量の増加およびその他製品の売上高の増加により一部相殺された。新型コロナウイルス感染症の世界的な影響からの穏やかな回復の兆候は、すでに前四半期末に現れていたが、特に眼科および婦人科領域においておおむね継続した。
経口抗凝固剤「イグザレルト®」の売上高は、主に中国、ドイツおよびロシアにおいて販売量が増加した結果、13.8パーセント(為替・ポートフォリオ調整後)増加した。眼科用VEGF阻害剤「アイリーア®」の売上高は、同剤のプレフィルドシリンジ製剤の発売と、中国における力強い需要により、2.2パーセント(為替・ポートフォリオ調整後)増加した。前四半期から売上高は若干回復したものの、ヨーロッパ地域における成長は、新型コロナウイルス感染症に関するマイナス要因により、引き続き抑制された。バイエルの心筋梗塞の再発予防薬「AspirinTM Cardio」の売上高は、中国における需要の急増が主な要因で、20.8パーセント(為替・ポートフォリオ調整後)増加した。抗悪性腫瘍剤「スチバーガ®」は特に米国において引き続き大幅に売上高が増加した(為替・ポートフォリオ調整後:17.5パーセント増)。売上高は、中でも、パンデミックが続く中で医療機関の外でも治療を継続できる経口製剤から恩恵を受けた。一方、抗悪性腫瘍剤「ネクサバール®」(為替・ポートフォリオ調整後:14.1パーセント減)および「ゾーフィゴ®」(為替・ポートフォリオ調整後:14.8パーセント減)については、特に米国において大幅な減少を記録した。「ゾーフィゴ®」の売上高は、中でも、新型コロナウイルス感染症に伴う制限により圧迫された。
医療用医薬品部門の特別項目計上前EBITDAは、0.9パーセント増の15億15百万ユーロに増加した。同部門は、新型コロナウイルス感染症の全体的な影響による売上高の減少や、利益をさらに圧迫した48百万ユーロに上る為替のマイナス影響にもかかわらず、厳しいコスト管理によって、利益およびマージンを成長させることができた。
コンシューマーヘルス部門は業界の市場成長率以上の伸長
セルフケア製品(コンシューマーヘルス部門)の売上高は6.2パーセント増(為替・ポートフォリオ調整後)の12億5百万ユーロに増加し、同部門の成長率は業界の市場成長率を大きく上回った。非常に力強かった第1四半期の後、第2四半期の流通在庫は予想通り減少し、成長傾向はその後すべての地域で継続した。この動きは、特に、新型コロナウイルス感染症のパンデミックに関連する健康と安全への注目の高まりや、新製品の発売に伴って、売上高が21.4パーセント(為替・ポートフォリオ調整後)増加した栄養補助食品領域により牽引された。胃腸薬領域も特に力強い成長を記録し、売上高は14.2パーセント(為替・ポートフォリオ調整後)増加した。一方、特にアレルギー薬および風邪薬領域では減少(為替・ポートフォリオ調整後:6.8パーセント減)が記録された。
コンシューマーヘルス部門の特別項目計上前EBITDAは、12.3パーセント増の301百万ユーロに増加した。これは、売上高の大幅な増加と、2018年末に開始した効率性プログラムからの貢献が主な要因であった。為替のマイナス影響30百万ユーロと、2019年に売却した事業からの貢献がなかったことにより、利益は押し下げられた。
2020年度の為替調整後グループ業績予測を確認
バイエルは、2020年度通年に関する変更後の為替調整後グループ業績予測を確認した。当社は、為替の調整後ベースで、売上高を430億ユーロから440億ユーロの範囲に成長させ、また特別項目計上前EBITDAマージンを約28パーセントに増加させることを目指している。これは、為替の影響調整後で約121億ユーロの特別項目計上前EBITDAに相当する。1株あたりコア利益は為替の調整後ベースで6.70ユーロから6.90ユーロの範囲に増加する見込みである。一方、成長率の想定値変更により、当社は現在、クロップサイエンス部門では1パーセント(従来予測:2パーセント)、コンシューマーヘルス部門では5パーセント(従来予測:4パーセント)の為替・ポートフォリオ調整後売上高成長率を上げると予測している。バイエルは、通年の売上高および利益が、為替による逆風からさらに大きな圧力を受けるものと予測している。
バイエルについて
バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。その製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活に貢献しています。同時に、収益力を高め、技術革新と成長を通して企業価値を創造することも目指しています。また、バイエルは、持続可能な発展に尽力し、バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。グループ全体の売上高は435億ユーロ、従業員数は104,000名(2019年)。設備投資額は29億ユーロ、研究開発費は53億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。
将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements)
このニュースリリースには、バイエルの経営陣による現在の試算および予測に基づく将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements) が含まれている場合がある。さまざまな既知・未知のリスク、不確実性、その他の要因により、将来の実績、財務状況、企業の動向または業績と、当文書における予測との間に大きな相違が生じることがある。これらの要因には、当社のWebサイト上(https://www.bayer.com/)に公開されている報告書に説明されているものが含まれる。当社は、これらの将来予想に関する記述を更新し、将来の出来事または情勢に適合させる責任を負うものではない。