ドイツ、レバークーゼン、2022年4月1日 ― バイエルは、画期的なイノベーション技術を活用した医療および農業の長期的な展望に焦点を当てた、初めてのブレークスルーイノベーションフォーラムを開催しました。このイベントでは、バイエルの医療用医薬品部門およびクロップサイエンス部門の近年の短中期パイプラインについて紹介し、ライフサイエンス分野における画期的なイノベーションを長期的視野で推進するバイエルの取り組みを紹介しました。著名な専門家やバイエル社経営委員会メンバーが、イノベーションの波によって作られる次世代医療の新たな機会や、資源消費型ではない持続可能な農業へと成長するためのソリューションを提供する新たな機会について説明しました。バイエルはこのイベントで、2024年末までに13億ユーロの資金を調達して、インパクト投資部門であるLeaps by Bayerへの投資を加速することを発表しました。
ドイツ・バイエル社社長ヴェルナー・バウマンは、次のように述べています。「私たちはライフサイエンス分野における新たな技術革新の時代の幕開けにいます。私たちが直面するいくつかの大きな課題に取り組む能力は、急速に高まりつつあります。これには、治療困難な疾患へのソリューションの提供や、これまでより健康で、さらにより良く、より長く生きるための予防手段の提供から、労力を大幅に減らして、プラネタリー・バウンダリー(地球の限界)を考慮しながら、これまで以上の農業生産をもたらすことまでが挙げられます。このような能力は特に、生物学、化学、高度コンピューテーション、データ解析および人工知能の融合によって推進されます。バイエルは健康と食糧の両分野におけるリーダーとして、この新たな技術革新時代の推進者となるべく、取り組みをさらに強化しています。イノベーションこそが、優れた業績と市場を上回る成果を生むエンジンなのです」
Leaps by Bayerによる、人類最大の課題への取り組み
Leaps by Bayerでは、がんの治療や農業による環境への影響の軽減など、人類が直面する10の課題に取り組むことを目的とした独自の施策を進めています。Leaps by Bayerの責任者ユルゲン・エックハルトは、次のように述べています。「この7年間に、50社以上の企業に13億ユーロ以上を投資してきました。いずれも、健康と農業の分野でのコア・パラダイムのシフトを目的としたものです。バイエルが今後数年間にわたり、Leapsへの投資を増大させることによって、成功への道を歩み続けるとともに、人類と地球に真の変化をもたらすソリューションに取り組んでいる優秀な研究者たちに資金を提供することができます」
Leapsでは、JoynBio社やBlueRock Therapeutics社 ― かつての投資先企業であり、現在はバイエルの完全子会社 ― といった多数の合弁事業に着手し、数回の投資ラウンドを成功裏に主導してきました。その一例が、肺線維症をはじめとする線維性疾患の新薬・治療法の発見にAIを活用して取り組むRecursion社で、同社は2021年4月に株式公開に成功しました。ブレークスルーイノベーションフォーラムでは、Leapsの投資先企業であるCellino社、Andes社およびUkko社のCEOを招き、健康と農業の分野でのミッションや技術に関する見通しを共有しています。
健康と農業の分野での画期的なイノベーションを推進する
このイベントでは、ライフサイエンス分野のパラダイムシフトを目指し、バイエルが現在進めている取り組みの具体例も提示しました。
医療の分野では、この新たな技術革新の時代の見通しに、技術手段が大幅に拡大し、世界中の科学者がアンメットメディカルニーズの高い領域に取り組むことが可能になるものと考えられます。ドイツ・バイエル社経営委員会委員であり医療用医薬品部門代表のシュテファン・エルリヒは次のように述べています。「生物学、化学、データの融合は、疾患を理解し治療するための根本的な新しい方法を切り開いています。新しい技術による画期的なイノベーションは、症状を治療するだけでなく、病気の進行を止めたり回復させたりすることを可能にし、患者さんに変革をもたらす治療オプションとして期待されています」 バイエルは、特に細胞・遺伝子治療の分野で、生物医学イノベーションの新たな領域に大きな投資を行っています。この3年間で、BlueRock Therapeutics社とAsklepios BioPharmaceutical(AskBio)社の買収をはじめ、細胞・遺伝子治療プラットフォームを構築するために25億ユーロ以上を投資してきました。さらに、提携による共同事業の利点を活用するべく、Atara Biotherapeutics社およびMammoth Biosciences社との戦略的提携を構築し、イノベーションを推進しています。すでに現在、前臨床および臨床段階にある有望な細胞・遺伝子治療ポートフォリオが加わり、そのうち8つのプロジェクトがさまざまな臨床段階にあります。これらはアンメットメディカルニーズが高い治療領域に及ぶもので、パーキンソン病、ポンペ病およびうっ血性心不全について主要プログラムが進行中です。バイエルは、この他にもバイオ医薬品企業Vividion Therapeutics社の買収により、創薬能力を大幅に拡大しました。同社の革新的な創薬技術を活用することで、これまで創薬が困難と考えられていた重要な標的分子に対する高精度な創薬を実現することができます。
さらに、バイエルはコンシューマーヘルスにおけるプレシジョン・ヘルスケアの可能性を開拓しています。バイエルは、もともとパーソナライズ・サービスを手掛ける栄養補助食品企業Care/ofにLeapsを通して大きな投資を行っており、サプリメント市場の成長と将来の可能性を利用する立場にあります。さらに、バイエルは、正しい栄養摂取とライフスタイルの選択によって細胞の健康を改善し、健康的に年齢を重ねることを促進する方法について、新しい生物学的洞察を用いて情報を提供するヘルシーエイジングの分野においても、イノベーションパートナーシップを締結しています。これらの取り組みは、科学的根拠に基づく栄養補助食品や予防医療製品のポートフォリオを補完するもので、過去2年間、いずれも前年比で2桁の成長を遂げています。ドイツ・バイエル社経営委員会委員でコンシューマーヘルス部門代表のハイコ・スキッパーは、「パンデミックにより、毎日の健康を維持する重要性が高まっています。セルフケアにおけるイノベーション主導のソリューションを推進することで、個人の日々の健康管理をより積極的かつ個別に行うことができるようになります」と述べています。
農業分野では、バイエルは新しい技術の力を利用して、持続可能で回復力のある食糧システムを構築し、世界中の生産者がこれまでより少ない資源でより多くの生産を行いつつ、排出量を削減して、大気から炭素を除去できるように支援しています。「バイエルのクロップサイエンス部門への年間20億ユーロの研究開発投資は、業界で比類のないものであり、種子や形質に関する技術、作物保護およびデジタルソリューションに及ぶ強固なイノベーションパイプラインにつながり、今後20年間で最大300億ユーロの売上が見込まれます」と、ドイツ・バイエル社経営委員会委員でクロップサイエンス部門代表のロドリゴ・サントスは述べています。バイエルでは近年、RNAi技術に基づいて、トウモロコシのネキリムシに対して初のバイオテクノロジーによる防除策を開始しました。農業生産者は年間約10億ユーロの作物被害をもたらす害虫を防除し、必要とする農薬を低減できるようになっています。また、2023年に新たに導入するSmart Corn Systemの一環として発売予定の短稈型トウモロコシにより、バイエルはさらに耐候性の高い植物を市場に投入することを計画しています。この背の低いトウモロコシは、気候変動によって生じる過酷な条件に耐えることができるため、作物損失リスクが軽減され、食糧の安定供給に貢献します。バイエルは、比類のないデジタル農業プラットフォームを活用して、農業の脱炭素化の主導的な立場を占めています。バイエル・カーボン・イニシアティブでは、不耕起栽培や被覆作物など、気候に配慮した農地利用法を採用するよう農業生産者に働きかけています。さらに、次世代技術を活用し、このような農地利用の影響を定量化し追跡して、食糧、飼料、燃料および繊維のバリューチェーンにおいて、バイエルが果たす先駆的な役割と、デジタル機能の推進における独自の立場の重要性を示しています。
バイエルについて
バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。その製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力します。同時に、収益力を高め、技術革新と成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。グループ全体の売上高は441億ユーロ、従業員数は約100,000名(2021年)。特別項目計上前の研究開発費は53億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。
将来予想に関する記述(Forward-Looking Statements)
このニュースリリースには、バイエルの経営陣による現在の試算および予測に基づく将来予想に関する記述が含まれている場合があります。さまざまな既知・未知のリスク、不確実性、その他の要因により、将来の実績、財務状況、企業の動向または業績と、当文書における予測との間に大きな相違が生じることがあります。これらの要因には、当社のサイト上(www.bayer.com)に公開されている報告書に説明されているものが含まれます。当社は、これらの将来予想に関する記述を更新し、将来の出来事または情勢に適合させる責任を負いません。