本資料は2月28日にドイツ・バイエル社が発表したプレスリリースを日本語に翻訳編集したもので、報道関係者各位へ参考資料として提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語を優先します。原文はmedia.bayer.comをご参照ください。
バイエル、売上高と利益の大幅な成長を達成
グループ売上高は前年比8.7パーセント増(為替・ポートフォリオ調整後)の507億39百万ユーロ / 特別項目計上前EBITDAは前年比20.9パーセント増の135億13百万ユーロ、主にクロップサイエンス部門の非常に好調な業績が牽引 / 医療用医薬品部門は売上高および収益が増加 / コンシューマーヘルス部門はダイナミックな成長を維持 / 1株あたりコア利益は前年比22.0パーセント増の7.94ユーロ / 当期純利益は41億50百万ユーロ / フリー・キャッシュフローは31億11百万ユーロに増加、純金融負債は318億9百万ユーロまで減少 / 前年比20パーセント増の1株あたり2.40ユーロの配当を提案 / 新製品が大幅な伸長、研究開発パイプラインも順調に進展 / 長期的なサステナビリティ目標の達成に向けて大きく前進 / 2023年の業績予測:売上高は増加(為替・ポートフォリオ調整後)、高いインフレ率により特別項目計上前EBITDAおよび1株あたりコア利益は前年から減収
ドイツ レバークーゼン、2023年2月28日 ― バイエルグループは2022年、大幅な増収増益を達成し、力強い成長を遂げました。ドイツ・バイエル社社長ヴェルナー・バウマンは、2月28日に行われた決算発表において「2022年は厳しい環境にもかかわらず、当社にとって非常に成功した年でした。この困難な時期にも成果を上げることができ、昨年8月に引き上げた財務目標を達成することができました」と述べました。バウマンは、バイエルは適切な分野で活動しているとして、「健康と食糧は人間の基本的なニーズです。「Health for all, hunger for none (すべての人に健康を、飢餓をゼロに)」という当社のビジョンは、特にこのような時代において、極めて重要なものであり、今後もそうあり続けるでしょう」と続けました。
2022年のバイエルグループの売上高は、為替およびポートフォリオの影響の調整後(以下「為替・ポートフォリオ調整後」)で8.7パーセント増加して、507億39百万ユーロとなりました。特別項目計上前EBITDAは20.9パーセント増加して135億13百万ユーロとなりました。この数値には、為替による4億29百万ユーロのプラスの影響(2021年:為替によるマイナス影響5億7百万ユーロ)が含まれています。特別項目計上前EBITDAマージンは増加し26.6パーセント(2021年:25.4パーセント)でした。EBITは、前年の2倍以上に相当する70億12百万ユーロとなりました。当期純利益は41億50百万ユーロ(2021年:10億ユーロ)となり、1株あたりコア利益は22.0パーセント増加して7.94ユーロとなりました。
フリー・キャッシュフローは前年から2倍以上増加して31億11百万ユーロとなりました。2022年12月31日時点での純金融負債は2021年末から4.0パーセント減少して318億9百万ユーロでした。営業活動およびプロフェッショナル向けエンバイロサイエンス事業の売却による現金収入は、配当に伴う現金支出と為替のマイナス影響により一部相殺されました。
CFOのヴォルフガング・ニックルは「こうした好調な業績を受けて、当社と監査役会は年次株主総会で1株あたり2.40ユーロの配当を提案する予定です。これは前年比20パーセントの増加に当たります」と述べました。配当受給権のある株式は982.42百万株であり、2022年度の配当金支払総額は23億58百万ユーロ(2021年:19億65百万ユーロ)となります。
■クロップサイエンス部門は記録的な売上高と業界トップレベルのマージンを達成
農業関連事業(クロップサイエンス部門)の売上高は、15.6パーセント(為替・ポートフォリオ調整後)増加して251億69百万ユーロを記録し、すべての地域で事業を伸ばしました。除草剤は43.9パーセント(為替・ポートフォリオ調整後)と最も力強い成長率を記録しました。その売上高はグリホサート含有製品の供給不足に伴う販売価格の上昇により、中南米地域と北米地域、またヨーロッパ・中東・アフリカ地域で増加しました。トウモロコシ種子・形質の売上高は、市場シェアの伸びを受けて8.8パーセント(為替・ポートフォリオ調整後)増加しました。すべての地域における販売価格の上昇は、北米地域における作付面積とライセンス収入の減少を十二分に吸収しました。殺菌剤の売上高は5.2パーセント(為替・ポートフォリオ調整後)増加し、中南米地域およびヨーロッパ・中東・アフリカ地域での販売価格の上昇は北米地域における販売量の減少を相殺して余りあるものでした。大豆種子および形質の売上高は前年と同水準で、中南米地域で売上が増加した一方、北米地域では販売量の減少により売上が減少しました。
クロップサイエンス部門の特別項目計上前EBITDAは、主として売上高の大幅な増加により、46.2パーセント上昇して68億67百万ユーロとなりました。進行中の効率性改善プログラムと、為替による2億84百万ユーロのプラスの影響(2021年:為替によるマイナス影響3億87百万ユーロ)も利益に貢献しました。一方、主に高いインフレ率による売上原価の増加によって利益が減殺されました。特別項目計上前EBITDAマージンは4.1パーセント・ポイント上昇し、業界トップレベルの27.3パーセントとなりました。
■医療用医薬品部門は新製品および「アイリーア®」が貢献
処方薬(医療用医薬品部門)の売上高は1.1パーセント(為替・ポートフォリオ調整後)増加して192億52百万ユーロとなりました。このうち5億ユーロ以上は医療用医薬品部門の新製品である抗悪性腫瘍剤「ニュベクオ®」と2型糖尿病を合併する慢性腎臓病の治療薬「ケレンディア®」によるものでした。「ニュベクオ®」の売上高は前年比でほぼ2倍となっています。また、眼科領域の治療薬「アイリーア®」の売上高は9.2パーセント(為替・ポートフォリオ調整後)、画像診断領域の「ガドビスト®」製品群の売上高は9.0パーセント(為替・ポートフォリオ調整後)、「UltravistTM」製品群は17.5パーセント(為替・ポートフォリオ調整後)増加し、力強い成長を達成しました。こうした成長は、中国での新たな入札手続などの要因による売上高の減少、特に5.8パーセント(為替・ポートフォリオ調整後)減少となった経口抗凝固薬「イグザレルト®」や、41.2パーセント(為替・ポートフォリオ調整後)減少となった抗悪性腫瘍剤「ネクサバール®」によって一部相殺されました。「イグザレルト®」の売上高は、英国における価格下落圧力とブラジルにおける特許期間満了の影響も受けました。
医療用医薬品部門の特別項目計上前EBITDAは1.6パーセント増加して58億73百万ユーロとなりました。この結果は主として売上高の増加によるものですが、非中核事業の売却益もありました。一方で、新製品のマーケティングへの投資と、プラットフォーム・テクノロジーおよび先進的臨床開発プロジェクトの研究開発費の増加が利益を減殺しました。調達価格の急激な高騰によるコスト増もマイナスの影響を及ぼしました。為替による影響は9百万ユーロのプラス(2021年:マイナス影響77百万ユーロ)でした。特別項目計上前EBITDAマージンは、1.0パーセント・ポイント減の30.5パーセントでした。
■コンシューマーヘルス部門はすべての地域および領域で事業が成長
セルフケア製品(コンシューマーヘルス部門)の売上高はすべての地域および領域において成長し、好調であった前年から8.4パーセント(為替・ポートフォリオ調整後)増加して60億80百万ユーロとなりました。アレルギー薬および感冒薬領域の売上高は、感冒発症率の高止まりと米国での抗ヒスタミンスプレー式点鼻薬「AsteproTM」の上市により、21.5パーセントと大きく増加し、最も強い成長率を記録しました。皮膚科領域でも、「BepanthenTM」の需要増などによって10.5パーセント(為替・ポートフォリオ調整後)となる2桁の成長率を達成しました。栄養補助食品領域では、非常に好調であった前年に引き続き売上高は1.0パーセント(為替・ポートフォリオ調整後)の増加を記録しました。
コンシューマーヘルス部門の特別項目計上前EBITDAは、売上高の大幅な増加、効率性改善プログラムによる力強い貢献、積極的な価格管理によって14.9パーセント増の13億67百万ユーロとなりました。この成長は、インフレによる著しいコスト増による影響を受けた事業環境の中で、「AsteproTM」をはじめとした革新的な製品の上市に大規模な投資を行いながら達成されました。為替も85百万ユーロのプラス影響(2021年:マイナス影響39百万ユーロ)をもたらしました。特別項目計上前EBITDAマージンは、前年に匹敵する22.5パーセントでした。
■業績予測:売上高のさらなる成長 – インフレおよび価格に関連する要因により収益は前年比減
バウマンは「当社は、2年連続で1桁後半の成長率を記録しました。2023年も業績は高水準を維持し、為替およびポートフォリオの影響調整後で2~3パーセントの成長を見込んでいます」と述べました。バイエルは、農業用除草剤と医療用医薬品の長期収載品の一部について価格の低下を予想しています。その他のポートフォリオおよび新製品において想定されている売上高の成長率の増加からプラスの影響が見込まれています。2023年の収益については、成長によるマージンへの貢献と進行中の効率性改善プログラムによるプラス効果では、予想される価格低下と今後も続くと思われる高いインフレ率によるコストの増加を十分に相殺できないと考えられます。
2023年、バイエルは為替の影響調整後(2022年の月間平均為替レートを適用した場合)で510億ユーロから520億ユーロの売上高を予測しています。また、為替の影響調整後の特別項目計上前EBITDAは125億ユーロから130億ユーロになると予測しています。これを踏まえ、1株あたりのコア利益は7.20ユーロから7.40ユーロ(為替の影響調整後)、フリー・キャッシュフローは約30億ユーロ(為替の影響調整後)になると予測しています。2023年末時点の純金融負債は、320億ユーロから330億ユーロ(為替の影響調整後)になると予測しています。
部門別の売上高成長率(為替・ポートフォリオ調整後)は、クロップサイエンス部門において約3パーセント、医療用医薬品部門において約1パーセント、コンシューマーヘルス部門において約5パーセントを見込んでいます。また、特別項目計上前EBITDA(為替の影響調整後)は、クロップサイエンス部門において25~26パーセント、医療用医薬品部門において29パーセント以上、コンシューマーヘルス部門において約23パーセントと予測しています。
バイエルは、2022年12月31日時点の為替レート(クロージングレート)の適用に基づく業績予測も作成しています。上記の為替の影響調整後の目標との違いは、次のとおりです。当社は、500億ユーロから510億ユーロのグループ売上高を予測し、医療用医薬品部門における特別項目計上前EBITDAマージンを約30パーセントと予測しています。
■イノベーションとサステナビリティにおいて大きな進展
革新的な製品の上市および開発中の新薬においても大きな進展を遂げました。例えば医療用医薬品部門において、「ニュベクオ®」と「ケレンディア®」の両製品のほか、現在、開発後期段階にあり、心房細動患者の脳卒中発症抑制に対して検討中のasundexianや、女性の更年期障害治療薬候補であるelinzanetantなどのプロジェクトがその代表です。バイエルは、成長を大きく牽引するこうした製品を合わせたピーク時の売上高が、年間120億ユーロ以上になる可能性があると見込んでいます。クロップサイエンス部門は、従来よりも効率的に収穫量を確保するとともに環境への影響を削減する新製品を上市しました。生物農薬分野では、研究のアプローチをオープン・イノベーション・モデルへと転換し、クロップサイエンス部門がボストンを拠点とするバイオテック企業Ginkgo Bioworksやスペインの生物農薬企業Kimitecなどと戦略的提携を行っています。コンシューマーヘルス部門は、「AsteproTM」の追加によって製品ポートフォリオを強化しました。「AsteproTM」は、米国市場で初めてのOTCのステロイドフリー抗ヒスタミンスプレー式点鼻薬です。従来の製品よりも即効性が高く、アレルギー患者さんの症状軽減のニーズに応えます。
サステナビリティに関する目標について、バウマンは「2022年も、当社は温室効果ガスの排出量を削減すると同時に事業を大きく成長させることができました」と述べました。バウマンは、MSCIがバイエルの環境・社会・ガバナンス(ESG)格付をBBからAに引き上げたこともあり、バイエルの取り組みはこれまで以上に高く評価されていることにも言及しました。また、権威ある指標であるAccess to Medicine Indexの上位10社に初めて入ったと続けました。Access to Medicine Indexは、低中所得国における取り組みに関して企業を格付けするものです。バウマンは「バイエルは社会的責任に関する壮大な目標に向けても順調に前進している」と述べました。バイエルは2030年までに、低中所得国の1億人の小規模農家を支援し、低中所得国の1億人の女性の現代的な避妊法のニーズを満たし、サービスが行き届いていない地域の1億人の人々にセルフケアに関する支援を行うことを目指しています。
注記:
下記の表には、2022年通年および第4四半期のバイエルグループおよび各部門の主要データが含まれています。また、完全な2022年の年次報告書はインターネット(www.bayer.com/annualreport)から、2022年のサステナビリティ報告書は(www.bayer.com/sustainability-report)から入手可能です。
バイエルについて
バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。その製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力します。同時に、収益力を高め、技術革新と成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。グループ全体の売上高は507億ユーロ、従業員数は約101,000名(2022年)。特別項目計上前の研究開発費は62億ユーロです。
詳細はwww.bayer.comをご参照ください。
バイエル ホールディング株式会社
2023年3月7日、東京
将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements)
このニュースリリースには、バイエルの経営陣による現在の試算および予測に基づく将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements) が含まれている場合があります。さまざまな既知・未知のリスク、不確実性、その他の要因により、将来の実績、財務状況、企業の動向または業績と、当文書における予測との間に大きな相違が生じることがあります。これらの要因には、当社のWebサイト上(www.bayer.com)に公開されている報告書に説明されているものが含まれます。当社は、これらの将来予想に関する記述を更新し、将来の出来事または情勢に適合させる責任を負いません。
バイエルグループ主要データ、2022年第4四半期および通年
(継続事業)