本資料は3月5日にドイツ・バイエル社が発表したプレスリリースを日本語に翻訳編集したもので、報道関係者各位へ参考資料として提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語を優先します。原文はmedia.bayer.comをご参照ください。

2023年度

バイエル、2026年までに業績向上と戦略的柔軟性の回復を目指す - 2023年のすべての主要財務指標で修正見通しを達成

  • 医療用医薬品パイプラインの強化、訴訟への対応、負債削減、事業モデルの抜本的な見直しを行う
  • ダイナミック・シェアード・オーナーシップにより、顧客中心主義とイノベーションの加速を通じて成長を実現するとともに、2026年からは年間20億ユーロのコスト削減を実現
  • 事業構造改革は選択肢として残るが、現時点ではない
  • 2023年のグループ売上高は476億37百万ユーロ(為替・ポートフォリオ調整後:1.2パーセント減)
  • 為替による逆風は約20億ユーロ/特別項目計上前EBITDAは117億6百万ユーロ(13.4パーセント減)/1株あたりコア利益は6.39ユーロ(19.5パーセント減)/フリー・キャッシュフローは13億11百万ユーロ、純金融負債は344億98百万ユーロに増加
  • 2024年の業績予測:売上高はほぼ前年並み(為替・ポートフォリオ調整後)、特別項目計上前EBITDAおよび1株あたりコア利益は減少へ

レバークーゼン/ロンドン、2024年3月5日 ― バイエルグループは2023年のすべての主要財務指標において修正見通しを達成しました。ドイツ・バイエル社最高経営責任者(CEO)ビル・アンダーソンは、3月5日に行った決算発表において「当社は3つの力強い事業を展開し、大きな影響力と使命感を持つライフサイエンス企業ですが、早急に対処しなければならない4つの課題があります」と述べ、医療用医薬品の独占販売権喪失とパイプライン、米国における訴訟、高水準の負債、進歩を阻む階層的官僚的な組織体制について言及しました。

 

アンダーソンは、「今後24か月から36か月は、強力な医療用医薬品パイプラインの構築、訴訟への対応、負債の削減、そして抜本的な新しい経営モデルであるダイナミック・シェアード・オーナーシップ(DSO)の継続的な導入による業績改善にフォーカスし、エネルギーを注ぎます。DSOは、階層レベルを減らし、官僚主義をなくし、構造を合理化し、意思決定を大幅に加速します。顧客と製品を中心に据え、各事業は競合他社よりもスリムで効果的なものになっていきます。これにより、2026年以降、年間20億ユーロのコストが削減されることになりますが、コスト削減は成果の一つに過ぎません」と続けました。DSOは顧客との距離を縮め、イノベーションを加速させることで成長を促進し、例えば医療用医薬品のパイプラインの強化を可能にします。さらに、DSOにより、クロップサイエンス部門は、世代にわたるイノベーションを通じて農業分野での主導的地位を強化し、今後10年間で10のブロックバスターが市場に投入されることになります。コンシューマーヘルス部門も同様に、主要ブランドで競合他社より優位に立つことを予測しています。

 

法的リスクとそれに関連する不確実性を軽減するため、当社は戦略を更新し、法廷の内外において新たなアプローチを追求します。また、負債にも対処します。利益率の改善と株式の配当方針の変更を通じてA格付けへの前進を目指します。過日発表のとおり、3年間は法的に義務付けられている最低配当額にする予定です。

 

アンダーソンはまた、当社の事業構造およびグループ分離の可能性について、「今後決してないとは言えませんが、現時点ではありません。私たちはオープンマインドでいますが、当社の厳しい状況における私たちの優先事項は、課題に取り組み、業績を向上させ、戦略的な柔軟性を生み出すことです。このアプローチがバイエルにとって最善であると確信しています」と述べました。

■2023年:減収減益であるがすべての主要財務指標で修正見通しを達成

 

2023年の業績について、最高財務責任者(CFO)のヴォルフガング・ニックルは、「すべての主要財務指標において修正見通しを達成しました」と述べました。グループ売上高は、為替およびポートフォリオの影響の調整後(以下「為替・ポートフォリオ調整後」)で1.2パーセント減の476億37百万ユーロとなりました。特別項目計上前EBITDAは13.4パーセント減の117億6百万ユーロとなりました。この数値には、3億75百万ユーロの為替差損(2022年:4億29百万ユーロの為替差益)が含まれています。目標達成率の低下により、グループ全体の業績賞与関連費用は全部門で減少し、全体で約10億ユーロ減少しました。また、長期インセンティブ・プログラム関連費用は前年度より約4億ユーロ減少しました。特別項目計上前EBITDAマージンは24.6パーセントとなり、前年比2.0パーセント・ポイント低下しました。特別項目69億77百万ユーロ(2022年:22億45百万ユーロ)後のEBITは、6億12百万ユーロ(2022年:70億12百万ユーロ)となりました。特別項目は主に減損損失によるもので、主にクロップサイエンス部門に帰属します。当期純利益は29億41百万ユーロ減(2022年:41億50百万ユーロ増)となり、1株あたりコア利益は19.5パーセント減の6.39ユーロとなりました。

 

フリー・キャッシュフローは57.9パーセント減の13億11百万ユーロとなりました。2023年12月31日時点での純金融負債は2022年末から8.5パーセント増加して344億98百万ユーロでした。営業活動によるキャッシュ・インフローと為替のプラス影響は、配当金の支払いと米国における訴訟関連和解金の支払いに伴う流出を相殺しきれませんでした。

■クロップサイエンス部門:主にグリホサート含有製品の価格下落により、非常に好調な前年度に対し大幅な減収減益

 

農業関連事業(クロップサイエンス部門)の売上高は、ヨーロッパ・中東・アフリカ地域およびアジア・太平洋地域では増加したものの、全体では3.7パーセント減(為替・ポートフォリオ調整後)の232億70百万ユーロとなりました。この減収は主に、後発品の価格引き下げによりグリホサート含有製品の価格が大幅に下落したことによるもので、その結果、除草剤の売上高は26.0パーセント減少(為替・ポートフォリオ調整後)しました。インフレ主導の市場環境の中、その他のポートフォリオは、革新的な製品と販売価格の上昇に牽引され、全体としてプラスの価格となりました。トウモロコシ種子・形質の売上高は最も力強い成長を達成し、主に販売価格の上昇により売上高は13.8パーセント増(為替・ポートフォリオ調整後)となりました。殺菌剤の売上高も8.8パーセント増(為替・ポートフォリオ調整後)となり、これは主にヨーロッパ・中東・アフリカ地域での販売価格の上昇と、中南米・北米地域での販売量の増加によるものです。大豆種子および形質の売上高は、主に中南米でのライセンス収入の増加により5.5パーセント増加(為替・ポートフォリオ調整後)しました。

 

クロップサイエンス部門の特別項目計上前EBITDAは、主にグリホサート含有製品の大幅な価格下落により、26.6パーセント減の50億38百万ユーロとなりました。また、主にインフレに起因する売上原価の上昇により収益が減少しました。為替によるプラス効果は1億3百万ユーロ(2022年:2億84百万ユーロ)でした。特別項目計上前EBITDAマージンは5.6パーセント・ポイント減の21.7パーセントでした。

■医療用医薬品部門:売上高は安定(為替・ポートフォリオ調整後)であるが減益

 

処方薬(医療用医薬品部門)の売上高は、前年同期並みの180億81百万ユーロ(為替・ポートフォリオ調整後:0.4パーセント減)でした。医療用医薬品部門において近年発売された抗悪性腫瘍剤「ニュベクオ®」の成長率は93.6パーセント(為替・ポートフォリオ調整後)、2型糖尿病を合併する慢性腎臓病の治療薬「ケレンディア®」の成長率は160.6パーセント(為替・ポートフォリオ調整後)と、大幅な伸びを達成しました。また、眼科領域の治療薬「アイリーア®」の売上高が5.6パーセント増(為替・ポートフォリオ調整後)と引き続き伸長したほか、「UltravistTM」製品群、CT用造影剤自動注入装置、「ガドビスト®」製品群を含む画像診断領域も増収となりました。一方、中国では、年初のパンデミック関連の動きや高血圧・狭心症治療薬「アダラート®」の入札手続の影響もあり売上は大幅に減少し、同治療薬の売上は世界全体で27.2パーセント減少(為替・ポートフォリオ調整後)しました。加えて、中国の医療セクターにおける反腐敗キャンペーンが下半期における需要に間接的にマイナスの影響を与えました。経口抗凝固薬「イグザレルト®」の売上も減少し、ジェネリック医薬品からの競争・価格圧力により6.1パーセント減(為替・ポートフォリオ調整後)となりました。

 

医療用医薬品部門の特別項目計上前EBITDAは、11.6パーセント減の51億89百万ユーロとなりました。これは主に、課題のある製品構成、インフレに起因するコスト増、細胞・遺伝子治療およびケモプロテオミクス技術、ならびに先進的臨床開発プロジェクトにおける研究開発投資の増加によるものです。一方、マーケティング活動にかかる費用の減少や、非中核事業の売却益の増加により、利益は増加しました。為替によるマイナス影響は2億21百万ユーロでした(2022年:9百万ユーロのプラス効果)。特別項目計上前EBITDAマージンは1.8パーセント・ポイント減の28.7パーセントでした。

■コンシューマーヘルス部門:好調を維持

 

セルフケア製品(コンシューマーヘルス部門)の売上高は、好調であった前年から6.3パーセント増加(為替・ポートフォリオ調整後)して60億27百万ユーロとなりました。売上高が前年並みとなった北米を除く全地域で増収となりました。コンシューマーヘルス部門は、皮膚科領域および解熱鎮痛剤・循環器領域のカテゴリーで2桁の増益率を記録しました。皮膚科領域の売上高が12.1パーセント増加(為替・ポートフォリオ調整後)したのは、「BepanthenTM」と「CanestenTM」の継続的な大きな需要が一因であり、解熱鎮痛剤・循環器領域の売上高は11.5パーセント(為替・ポートフォリオ調整後)の成長を記録しました。アレルギー薬および感冒薬領域の売上高は、アレルギーの季節の影響が少なかったにもかかわらず、特にヨーロッパで大きかった感冒の季節の影響により6.8パーセント増加(為替・ポートフォリオ調整後)しました。栄養補助食品領域は、前年並みでした(為替・ポートフォリオ調整後:0.4パーセント減)。

 

コンシューマーヘルス部門の特別項目計上前EBITDAは、3.2パーセント増の14億11百万ユーロとなり、特別項目計上前EBITDAマージンは0.9パーセント・ポイント増の23.4パーセントとなりました。この成長は、コンシューマーヘルス部門の複数年にわたる効率化プログラム、価格管理の成功、および売上高の持続的な成長によるもので、インフレによるコストの大幅な上昇、革新的な製品のマーケティングへの投資の増加、および為替動向によるマイナス影響1億33百万ユーロ(2022年:為替によるプラス影響85百万ユーロ)を相殺しました。

■業績予測:減益、フリー・キャッシュフローの増加を予測

 

2024年、バイエルは為替の影響調整後(2023年の月平均為替レートを適用した場合)で470億ユーロから490億ユーロの売上高を予測しています。また、為替の影響調整後の特別項目計上前EBITDAは107億ユーロから113億ユーロになると予測しています。これをふまえ、1株あたりのコア利益は5.10ユーロから5.50ユーロ(為替の影響調整後)、フリー・キャッシュフローは20億から30億ユーロ(為替の影響調整後)になると予測しています。2024年末時点の純金融負債は、325億ユーロから335億ユーロ(為替の影響調整後)になると予測しています。

 

部門別の売上高成長率(為替・ポートフォリオ調整後)は、クロップサイエンス部門においてマイナス1からプラス3パーセント、医療用医薬品部門においてマイナス4から0パーセント、コンシューマーヘルス部門においてプラス3から6パーセントを見込んでいます。また、特別項目計上前EBITDAマージン(為替の影響調整後)は、クロップサイエンス部門において20から22パーセント、医療用医薬品部門において26から29パーセント、コンシューマーヘルス部門において23から24パーセントと予測しています。

 

バイエルは、2023年12月31日時点の為替レート(クロージングレート)の適用に基づく業績予測も作成しています。上記の為替の影響調整後の目標との違いは、次のとおりです。当社は、460億ユーロから480億ユーロのグループ売上高を予測し、1株あたりのコア利益は4.95ユーロから5.35ユーロを見込んでいます。

■サステナビリティの目標達成に向けた順調な進捗

 

バイエルは、2023年もサステナビリティ戦略を実現しました。エコロジカル・フットプリントの削減だけでなく、セルフケアの推進、現代的な避妊法のニーズ充足、低中所得国の小規模農家への支援といったコミットメントに関しても、2030年目標の達成に向けて順調に前進しました。バイエルは、2023年3月にニューヨークで開催された国連水会議において、世界的な水危機に対処するための新たな水戦略を発表しました。

注記:

下記の表には、2023年通年および第4四半期のバイエルグループおよび各部門の主要データが含まれています。また、完全な2023年の年次報告書はインターネット(www.bayer.com/annualreport)から、2023年のサステナビリティ報告書は(www.bayer.com/sustainability-report)から入手可能です。

バイエルについて
バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。私たちのミッション「Health for all, Hunger for none(すべての人に健康を、飢餓をゼロに)」のもと、バイエルの製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力しています。同時に、収益力を高め、イノベーションと成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。グループ全体の売上高は476億ユーロ、従業員数は約100,000名(2023年)。特別項目計上前の研究開発費は58億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。

 

 

バイエル ホールディング株式会社
2024年3月11日、東京

将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements)
このニュースリリースには、バイエルの経営陣による現在の試算および予測に基づく将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements) が含まれている場合があります。さまざまな既知・未知のリスク、不確実性、その他の要因により、将来の実績、財務状況、企業の動向または業績と、当文書における予測との間に大きな相違が生じることがあります。これらの要因には、当社のWebサイト上(www.bayer.com)に公開されている報告書に説明されているものが含まれます。当社は、これらの将来予想に関する記述を更新し、将来の出来事または情勢に適合させる責任を負いません。

バイエルグループ主要データ、2023年第4四半期および通年