本資料は11月12日にドイツ・バイエル社が発表したプレスリリースを日本語に翻訳編集したもので、報道関係者各位へ参考資料として提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語を優先します。原文はmedia.bayer.comをご参照ください。
バイエル:厳しい事業環境下での戦略的進展 - ほぼすべての経営指標でグループ業績予測を確認
- 2024年度第3四半期のグループ売上高は99億68百万ユーロ(為替・ポートフォリオ調整後0.6パーセント増)
- 特別項目計上前EBITDAは12億51百万ユーロ(25.8パーセント減)/1株あたりコア利益は0.24ユーロ(36.8パーセント減)/当期純利益は41億83百万ユーロの損失、減損損失はクロップサイエンス部門で計上/フリー・キャッシュフローは11億48百万ユーロ
- 2024年グループ業績予測は、売上高の成長(為替・ポートフォリオ調整後)、1株あたりコア利益、フリー・キャッシュフローにおいて確認済み – 農業関連事業における市場のダイナミクス低下、コンシューマーヘルス市場の成長鈍化の見込み、医療用医薬品部門はガイダンスの上限値
- 2025年:農薬事業における規制上の課題とジェネリック農薬の価格圧力、医療用医薬品部門における特許切れ製品の損失の影響を緩和する新製品、コンシューマーヘルス部門における堅調な成長見込み
- 医療用医薬品パイプラインの強化と新しい経営モデルの活用に成功
- ビル・アンダーソン:「私たちは課題に正面から取り組み、戦略的優先事項の達成に向けて前進しています」
レバークーゼン、2024年11月12日- バイエルグループの第3四半期における為替およびポートフォリオの影響の調整後(以下「為替・ポートフォリオ調整後」)の売上高は、前年同期と同水準でした。利益は減少した一方、戦略的な観点ではさらに前進しました。11月12日に行った決算発表において、バイエル最高経営責任者(CEO)のビル・アンダーソンは「私たちは新しい経営モデルを急速に拡大し、医療用医薬品パイプラインを大幅に強化しました。2024年のグループ目標は、ほぼすべての経営指標で確認されています」と述べました。
農業市場の成長は予想よりも弱く、特に中南米においてその傾向が顕著です。また、農薬事業においても価格圧力に直面し続けていると、アンダーソンは述べました。そのため、クロップサイエンス部門の2024年目標を引き下げています。2025年の農業市場環境についてもバイエルは慎重な見方を示しており、追加の規制上の課題とジェネリック農薬の価格圧力が、農薬事業に圧力をかけることになると予測しています。
医療用医薬品部門について、アンダーソンは、2024年第2四半期決算発表において上方修正したガイダンスの上限値達成を確信していると説明した上で「発売済みの製品は好調です」と述べました。2025年は、抗悪性腫瘍剤「ニュベクオ®」と2型糖尿病を合併する慢性腎臓病の治療薬「ケレンディア®」の成長が継続すると予測しており、この成長は、経口抗凝固薬「イグザレルト®」の特許切れの影響が加速し、特別項目計上前の EBITDA 利益率が今年よりもさらに大きな圧力を受ける見込みであることからも重要であると述べました。さらに、2025年の発売を目標に、循環器疾患治療薬acoramidisと、更年期障害に伴う血管運動神経系の症状に悩む女性のための非ホルモン治療薬elinzanetantの開発を進めています。
コンシューマーヘルス部門について、アンダーソンは、5年以上にわたり継続的な成長(為替・ポートフォリオ調整後)を達成していることから、2024年も「その成長を継続する予定である」と述べました。しかし、成長のペースは市場動向に合わせて当初の計画よりも緩やかなものになる予定であるとしました。2025年においても同部門の継続的な成長を見込んでおり、販売量の増加に重点的に取り組む予定であると述べました。
最高財務責任者(CFO)のヴォルフガング・ニックルは「全体として、来年の売上高と最終利益は低調な見通しで、収益の減少が予測されます。コストと効率化の対策を加速してその一部を補うとともに、キャッシュコンバージョンに引き続き重点的に取り組んでいく予定です」と述べました。
アンダーソンは「私たちは課題に正面から取り組み、4つの戦略的優先事項において進展を遂げています」と述べ、イノベーション、米国における訴訟、キャッシュとデレバレッジそして新しい経営モデルであるダイナミック・シェアード・オーナーシップ(DSO)の導入について言及しました。イノベーションに関しては、「ニュベクオ®」が9月に年間売上高10億ユーロの大台を突破し、ブロックバスターとなりました。さらに、コンシューマーヘルス部門では市場導入までのスピードを加速し、幾つかの製品では上市までの期間をほぼ半減しています。アンダーソンは、これら事例のいずれにおいても、DSOが役割を果たしていると述べました。
2024年度第3四半期のグループ売上高は、99億68百万ユーロとなりました(為替・ポートフォリオ調整後0.6パーセント増)。為替によるマイナス影響は、4億36百万ユーロでした(2023年第3四半期:7億42百万ユーロ)。特別項目計上前EBITDAは、25.8パーセント減の12億51百万ユーロとなりました。この数字には、94百万ユーロのマイナスの為替の影響が含まれています(2023年第3四半期:31百万ユーロ)。グループEBITは、マイナス38億22百万ユーロでした(2023年第3四半期:マイナス35億94百万ユーロ)。この数字には、主にクロップサイエンス部門における無形資産の減損損失に関連する特別損失純額40億88百万ユーロが含まれています(2023年第3四半期:43億3百万ユーロ)。当期純利益は、41億83百万ユーロの損失(2023年第3四半期:45億69百万ユーロの損失)となりました。
フリー・キャッシュフローは、29.4パーセント減の11億48百万ユーロとなりました。これは主に、クロップサイエンス部門における売掛金の四半期ごとの減少による営業活動によるキャッシュフロー減少によるものです。2024年9月30日時点の純金融負債は、350億37百万ユーロで、6月末から4.7パーセント減少しました。この減少は主に営業活動によるキャッシュフローと為替差益によるものです。
■クロップサイエンス部門: 売上高は減少、特別項目計上前EBITDAは微増
農業関連事業(クロップサイエンス部門)の売上高は、3.6パーセント減(為替・ポートフォリオ調整後)の39億86百万ユーロとなりました。グリホサート含有除草剤の売上は、購買パターンが正常化し、その結果として販売量が減少したことにより、19.1パーセント減少しました(為替・ポートフォリオ調整後)。一方、中南米におけるトウモロコシ栽培面積の大幅な減少は、トウモロコシ種子・形質のグローバルな売上減少(為替・ポートフォリオ調整後19.3パーセント)につながりました。これらのマイナス影響は、殺菌剤と殺虫剤の大幅な売上増加により一部相殺されました。成長率はそれぞれ13.1パーセントと9.5パーセント(為替・ポートフォリオ調整後)でした。
クロップサイエンス部門の特別項目計上前 EBITDA は、主にグループ全体の短期インセンティブ(STI)プログラムに対する引当金の減少と売上原価の減少により、35百万ユーロに増加しました(2023年第3四半期:マイナス24百万ユーロ)。利益は、売上高のわずかな減少によりマイナスの影響を受けました。為替によるプラスの影響は 32百万ユーロでした(2023年第3四半期:1 億 21百万ユーロ)。
■医療用医薬品部門: 新製品により成長(為替・ポートフォリオ調整後)
処方薬(医療用医薬品部門)の売上高は、2.3パーセント増(為替・ポートフォリオ調整後)の45億10百万ユーロとなりました。同部門の近年発売した製品は大幅な伸びを達成し、「ニュベクオ®」の成長率は83.2パーセント(為替・ポートフォリオ調整後)、「ケレンディア®」の成長率は96.4パーセント(為替・ポートフォリオ調整後)となりました。同部門ではまた、眼科領域の治療薬「アイリーア®」の売上高も8.6パーセント(為替・ポートフォリオ調整後)増加し、CT用造影剤自動注入装置および「イオプロミド注「BYL」」の販売量と価格の上昇を主な要因として画像診断領域も伸長しました。さらに、肺高血圧症治療剤「アデムパス®」の売上高は、9.8パーセント(為替・ポートフォリオ調整後)と大幅に増加しました。特に米国での伸びが顕著でした。これらの好影響は、特許切れにより「イグザレルト®」の売上高が23.0パーセント減少(為替・ポートフォリオ調整後)したことなどにより、一部相殺されました。
医療用医薬品部門の特別項目計上前EBITDA は、主に為替のマイナス影響(1億34百万ユーロ、2023年第3四半期:47百万ユーロ)およびSTIプログラムに対する引当金の増加により、23.4パーセント減の11億2百万ユーロとなりました。また、特に「イグザレルト®」の売上減少、「ニュベクオ®」「アイリーア®」の売上増加、ならびに関連するライセンス料の増加を反映した製品構成の変化も収益に影響を与えました。前年同期は、非中核事業の売却による収益増加の恩恵も受けていました。
■コンシューマーヘルス部門: すべてのカテゴリーで成長(為替・ポートフォリオ調整後)
セルフケア製品(コンシューマーヘルス部門)の売上高は、5.7%増(為替・ポートフォリオ調整後)の14億13百万ユーロとなりました。好調な要因としては、ヨーロッパ・中東・アフリカ地域および中南米での販売量の増加が挙げられ、すべてのカテゴリーで増収となりました(為替・ポートフォリオ調整後)。 特に解熱鎮痛剤・循環器領域と皮膚科領域の売上高が大きく伸び、それぞれ10.9パーセントと7.4パーセント(為替・ポートフォリオ調整後)の成長を記録しました。 皮膚科領域の売上高は、「BepanthenTM」の需要が非常に高いヨーロッパ・中東・アフリカ地域およびアジア・太平洋地域で大幅に増加しました。しかし、同部門の成長は、前年と比較して北米での感冒の季節の始まりが遅れたことや中国での消費需要の低下により抑制されました。
コンシューマーヘルス部門の特別項目計上前 EBITDA は、主に STI プログラムの引当金が減少したことと、7百万ユーロの為替差益(2023年第3四半期:57百万ユーロの為替差損)により、15.0パーセント増の3億60百万ユーロとなりました。継続的なコストおよび価格管理の取り組みにより、同部門は売上原価の増加と製品開発およびマーケティングへの投資増を部分的に相殺することができました。
■部門別ガイダンスの見直し
バイエルは、為替およびポートフォリオ調整後の売上高成長率、為替調整後のコア1株あたり利益、およびフリー・キャッシュフローに関する2024年グループガイダンスを確認しました。しかし、農業市場の予想を下回る展開を踏まえ、グループ業績予測の一部を修正しました。2023年の月平均為替レートに基づき、特別項目計上前 EBITDA を104億から107億ユーロ(当初予測:107億から113億ユーロ)と予測しています。また、これらのレートに基づき、部門別ガイダンスにも調整を加えました。クロップサイエンス部門については、為替・ポートフォリオ調整後の売上高成長率をマイナス3からマイナス1パーセント(当初予測:マイナス1からプラス3パーセントの予測範囲の下限)と予測し、特別項目計上前 EBITDA 利益率は18から20パーセント(当初予測:20から22パーセントの予測範囲の下限)と予測しています。コンシューマーヘルス部門については、為替レートおよびポートフォリオ調整後の売上成長率を1から3%(当初予測:3から6パーセント)と予測しています。医療用医薬品部門については、為替レートおよびポートフォリオ調整後の売上成長率を0から3パーセントと予測しており、特別項目計上前EBITDAは26から29パーセントと予測しています。これは、第2四半期決算発表において上方修正されたガイダンスの上限に相当します。
■ヴォルフガング・ニックルの契約を2026年5月まで延長
ドイツ・バイエル社監査役会は、最高財務責任者(CFO)のヴォルフガング・ニックルとの現行契約を2026年5月31日まで延長することを決定しました。2025年の年次株主総会後に退職する予定であったニックルは、バイエルにとって重要な時期に優先事項の推進を継続したいと考えています。ドイツ・バイエル社監査役会会長のノルベルト・ヴィンケルホーン教授は「ヴォルフガング・ニックルが自身の計画とは異なるにもかかわらず、契約をさらに1年延長することを決断してくれたことに非常に感謝しています。彼は、その専門知識と献身により、課題に直面する現在の当社を導くのにふさわしいCFOです」と述べています。
注記:
下記の表には、2024年第2四半期および上半期のバイエルグループおよび各部門の主要データが含まれています。また、第2四半期の完全な四半期報告書はインターネット(www.bayer.com/quarterly-statement)から入手可能です。
バイエルについて
バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。私たちのミッション「Health for all, Hunger for none(すべての人に健康を、飢餓をゼロに)」のもと、バイエルの製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力しています。同時に、収益力を高め、イノベーションと成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。2023年のグループ全体の売上高は476億ユーロ、従業員数は約100,000名、特別項目計上前の研究開発費は58億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。
バイエル ホールディング株式会社
2024年11月18日、東京
将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements)
このニュースリリースには、バイエルの経営陣による現在の試算および予測に基づく将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements) が含まれている場合があります。さまざまな既知・未知のリスク、不確実性、その他の要因により、将来の実績、財務状況、企業の動向または業績と、当文書における予測との間に大きな相違が生じることがあります。これらの要因には、当社のWebサイト上(www.bayer.com)に公開されている報告書に説明されているものが含まれます。当社は、これらの将来予想に関する記述を更新し、将来の出来事または情勢に適合させる責任を負いません。