本資料は3月5日にドイツ・バイエル社が発表したプレスリリースを日本語に翻訳編集したもので、報道関係者各位へ参考資料として提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語を優先します。原文はmedia.bayer.comをご参照ください。
バイエル、2024年の主要財務指標で修正後ガイダンスを達成、課題に対処するための果敢な行動へ
- 2025年は経営改革のために極めて重要な年であり、2026年以降の業績改善が見込まれる
- クロップサイエンス部門の収益性を高める包括的な計画
- 戦略的優先事項の進展
- 為替による逆風は13億49百万ユーロ / 特別項目計上前EBITDAは101億23百万ユーロ(13.5パーセント減) / 1株あたりコア利益は5.05ユーロ(21.0パーセント減) / 純利益は25億52百万ユーロ減、 クロップサイエンス部門の減損損失 / フリー・キャッシュフローは31億7百万ユーロに増加、純金融負債は326億26百万ユーロに減少
- 1株あたり0.11ユーロの配当を提案
- 2025年の業績予測:売上高はほぼ前年並み、特別項目計上前EBITDAおよび1株あたりコア利益は減少へ
レバークーゼン、2025年3月5日- バイエルグループは、2024年の主要財務指標において修正後ガイダンスを達成しました。ドイツ・バイエル社最高経営責任者(CEO)ビル・アンダーソンは、3月5日に行った決算発表において「当社は、魅力的な長期的展望を持つ3つの事業を展開しています。しかし、今後の機会を生かすためには、引き続き厳しい状況を乗り切る必要があり、そのためにまだやるべきことがあります」と述べました。アンダーソンはまた、経営改革の2年目にあたる2025年をバイエルにとって「重要な年」としたうえで、売上高はほぼ前年並み、利益とフリー・キャッシュフローは前年を下回る見通しであり、財務実績の面では最も厳しい年になるだろうと説明しました。バイエルは、2026年以降の業績改善を見込み、既存の4つの戦略的優先事項に加え、クロップサイエンス部門の収益性を5つめの重点分野として追加し、収益改善に向けた包括的な5か年計画を立ち上げる予定です。アンダーソンは、「私たちは、お客様、当社、そして株主の皆様が繁栄する未来のために、正しい行動を取ることに集中していきます」と述べました。
医療用医薬品部門において、アンダーソンは、2型糖尿病を合併する慢性腎臓病の治療薬「ケレンディア®」と抗悪性腫瘍剤「ニュベクオ®」の合計売上高を、2025年には現在の約20億ユーロから25億ユーロ以上に増加させる見込みであると述べました。また、今年は、循環器疾患治療薬「Beyonttra™」(有効成分:acoramidis)と、更年期障害に伴う血管運動神経系の症状に悩む女性のための非ホルモン治療薬elinzanetantの発売も予定しています。アンダーソンは、医療用医薬品部門においては2027年以降の売上が伸長し、2028年以降には利益率の拡大が見込まれると述べました。さらに、バイエルは、法廷内外で米国における訴訟への対処に注力しており、今年中に収束に向けた具体的な進展が見られるとの考えから、2026年末までに関連リスクを大幅に抑制することを確約している旨を説明しました。アンダーソンはまた、バイエルはデレバレッジとダイナミック・シェアード・オーナーシップ(DSO)の推進に引き続き注力しており、新しい事業モデルにより、2024年に目標として掲げて達成した約5億ユーロの削減に加え、2025年には8億ユーロの削減が達成できる見込みであると述べました。
クロップサイエンス部門における収益性を高めるための計画は、製品ポートフォリオ、研究開発、生産、コマーシャルおよびイネーブリングファンクションに関する主要施策を中心に展開され、2029年までに年間10億ユーロ以上の収益への貢献が見込まれています。また、この計画には、広範囲にわたるキャッシュ生産性プログラムも含まれています。バイエルは、今後数年間、クロップサイエンス部門の市場成長率を上回る成長を目指しており、2029年までにイノベーションによる売上増加分として35億ユーロ以上を達成することを目指しています。さらに同部門は、2029年までに特別項目計上前EBITDA利益率を20パーセント台半ばに引き上げることを目標としています。アンダーソンは、「私たちは行動を起こす必要性を認識しており、当社のチームには計画があり、それを実現する能力があります」と述べました。
■グループ売上高は前年並み、フリー・キャッシュフローは予想をやや上回る
グループ全体の売上高は、為替およびポートフォリオの影響の調整後(以下「為替・ポートフォリオ調整後」)で0.7パーセント増の466億6百万ユーロとなりました。為替によるマイナス影響は、13億49百万ユーロでした(2023年:19億64百万ユーロ)。特別項目計上前EBITDAは13.5パーセント減の101億23百万ユーロとなりました。これには、5億73百万ユーロのマイナスの為替換算差額(2023年:3億75百万ユーロ)が含まれています。特別費用55億7百万ユーロ(2023年:69億77百万ユーロ)を計上後のEBITは、マイナス71百万ユーロ(2023年:6億12百万ユーロ)となりました。特別費用は減損損失によるもので、主にクロップサイエンス部門に起因するものです。純利益はマイナス25億52百万ユーロ(2023年:マイナス29億41百万ユーロ)となり、1株あたりコア利益は21.0パーセント減の5.05ユーロとなりました。
フリー・キャッシュフローは前年比で2倍以上の31億7百万ユーロに増加し、予想をやや上回りました。2024年12月31日時点での純金融負債は326億26百万ユーロとなり、2023年末から5.4パーセント減少しました。負債をさらに削減し、より柔軟性を高めるため、過日発表のとおり、2024年の配当を最低配当額にする予定です。そのため、2025年4月25日に開催される年次株主総会において、1株あたり0.11ユーロの配当金を据え置くことを提案します。
■クロップサイエンス部門: 農薬事業の価格低下の影響を受ける
農業関連事業(クロップサイエンス部門)の売上高は、2.0パーセント減の222億59百万ユーロとなりました(為替・ポートフォリオ調整後)。これは主に、価格競争による圧力を受けた農薬事業における価格低下の影響によるものです。作付面積の減少による種子・形質の販売量の減少は、農薬の販売量の増加により相殺されました。中南米では、トウモロコシの作付面積の減少と農薬価格の下落により、売上高は減少しました。一方、北米では、農薬の販売量の増加と大豆の作付面積の拡大により、売上高はやや増加しました。ただし、トウモロコシの作付面積の減少により、その増加分は一部相殺されました。
クロップサイエンス部門の特別項目計上前EBITDAは、主に農薬事業における大幅な価格下落により、14.2パーセント減の43億25百万ユーロとなりました。また、グループ全体の短期インセンティブ(STI)プログラムのための引当金の積み増しやインフレによるコスト増も利益に影響を与えました。一方、特に農薬製品における効率性の向上により、売上原価は改善しました。また、37百万ユーロのプラスの為替効果(2023年:1億3百万ユーロ)もありました。特別項目計上前EBITDA利益率は、2.3ポイント減の19.4パーセントとなりました。
■医療用医薬品部門:近年発売した製品が売上成長を牽引
処方薬(医療用医薬品部門)の売上高は、3.3パーセント増(為替・ポートフォリオ調整後)の181億31百万ユーロとなりました。同部門の近年発売した製品は大幅な伸びを達成し、「ニュベクオ®」の成長率は78.2パーセント(為替・ポートフォリオ調整後)、「ケレンディア®」の成長率は73.9パーセント(為替・ポートフォリオ調整後)となりました。また、眼科領域の治療薬「アイリーア®」の売上高も5.1パーセント(為替・ポートフォリオ調整後)増加し、引き続き成長を遂げました。CT用造影剤自動注入装置および「イオプロミド注「BYL」」の販売量と価格の上昇を主な要因として画像診断領域も伸長しました。さらに、肺高血圧症治療剤「アデムパス®」の売上高は、10.5パーセント(為替・ポートフォリオ調整後)と大幅に増加しました。特に米国での伸びが顕著でした。これらの好影響は、経口抗凝固薬「イグザレルト®」の売上高が特許切れにより13.0パーセント減少(為替・ポートフォリオ調整後)したことなどにより、一部相殺されました。
医療用医薬品部門の特別項目計上前 EBITDA は、主に為替のマイナス影響(4億91百万ユーロ、2023年:2億21百万ユーロ)により、9.0パーセント減の47億22百万ユーロとなりました。利益は、STIプログラムの引当金の増加や、特に「イグザレルト®」の減少、「ニュベクオ®」と「アイリーア®」の増加を反映した製品構成の変化および関連するライセンス料増加の影響も受けました。しかし、医療用医薬品部門は、臨床開発プロジェクトにかかる費用の削減や既存製品の販売費用の減少により、これらの影響を一部相殺することができました。また、初期段階の研究、細胞・遺伝子治療およびケモプロテオミクス技術への投資も増加しました。特別項目計上前EBITDA利益率は、2.7ポイント減の26.0パーセントとなりました。
■コンシューマーヘルス部門:ほぼすべてのカテゴリーで成長(為替・ポートフォリオ調整後)を記録
セルフケア製品(コンシューマーヘルス部門)の売上高は、前年の好調な実績に対して1.9パーセント増(為替・ポートフォリオ調整後)の58億70百万ユーロとなり、ほぼすべてのカテゴリーで増収となりました。売上高の伸びが最も大きかったのは皮膚科領域で、「Bepanthen™」の需要が引き続き高かったことから、9.7パーセント増(為替・ポートフォリオ調整後)となりました。また、胃腸薬領域では供給状況が正常化したこともあり、8.2パーセントと大幅な増収となりました(為替・ポートフォリオ調整後)。一方、前年が好調だったアレルギー薬および感冒薬領域は、感冒の季節の影響の少なさと米国における顧客の在庫の最適化により、11.5パーセントの大幅な減収となりました(為替・ポートフォリオ調整後)。
コンシューマーヘルス部門の特別項目計上前 EBITDAは、主に為替のマイナス影響(46百万ユーロ、2012年:1億33百万ユーロ)により、3.2パーセント減の13億66百万ユーロとなりました。継続的なコストおよび価格管理の取り組みにより、同部門は売上原価の増加とマーケティングおよび製品開発への投資増を相殺することができました。特別項目計上前EBITDA利益率は、0.1ポイント減の23.3パーセントとなりました。
■業績予測:2025年の売上高はほぼ前年並み
2025年、バイエルは為替の影響調整後(2024年の月平均為替レートを適用した場合)で450億ユーロから470億ユーロの売上高を予測しています。これは、マイナス3パーセントからプラス1パーセントの変化に相当します(為替・ポートフォリオ調整後)。特別項目計上前 EBITDAは95億から100億ユーロ、1株あたりコア利益は4.50ユーロから5.00ユーロ、フリー・キャッシュフローは15億ユーロから25億ユーロを見込んでいます(為替の影響調整後)。2025年末時点の純金融負債は、310億ユーロから320億ユーロになると予測しています(為替の影響調整後)。
バイエルは、2024年12月31日時点の為替レート(クロージングノート)に基づく業績予測も作成しています。上記の為替の影響調整後予測との違いは、次のとおりです。グループ全体では、特別項目計上前EBITDAは93億ユーロから98億ユーロ、1株あたりコア利益は4.25ユーロから4.75ユーロ、フリー・キャッシュフローは13億ユーロから23億ユーロ、2025年末時点の純金融負債は312億ユーロから322億ユーロを見込んでいます。
■サステナビリティ:気候変動と水に関する取り組みで最高評価
バイエルは、2024年も持続可能性への取り組みで大きな進展を遂げました。小規模農家への支援、現代的な避妊法のニーズ充足、セルフケア製品の提供など、2030年までに達成すべき3つの「1億」という目標に向けて、順調に推移しています。「Climate Transition and Transformation Plan」の一環として、バイエルは昨年、2050年までにバリューチェーン全体でネットゼロを達成するための具体的な目標を定め、そのための対策を策定しました。Science Based Targetsイニシアティブは最近、温室効果ガス排出削減に関するバイエルの目標を確認し、ネットゼロへの道筋を検証しました。この最も重要なステップとして、バイエルは電力およびエネルギー需要を満たすために再生可能エネルギーへの転換を継続していきます。2024年には、バイエルは再生可能エネルギーから大量の電力を確保する契約を締結しました。
バイエルのサステナビリティの目標と、人々を支援し環境を保護する取り組みは、今後もグループ戦略の不可欠な一部であり続けます。経営委員会は昨年末、サステナビリティ戦略を再確認しました。著名な非営利団体であるCDPは、この分野におけるバイエルの取り組みを評価し、水と気候のカテゴリーで最高評価であるAを授与しました。
注記:
下記の表には、2024年通年および第4四半期のバイエルグループおよび各部門の主要データが含まれています。また、完全な2024年の年次報告書はインターネット(www.bayer.com/quarterly-statement)から入手可能です。
バイエルについて
バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。私たちのミッション「Health for all, Hunger for none(すべての人に健康を、飢餓をゼロに)」のもと、バイエルの製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力しています。同時に、収益力を高め、イノベーションと成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。2024年のグループ全体の売上高は466億ユーロ、従業員数は約93,000名、研究開発費は62億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。
バイエル ホールディング株式会社
2025年3月11日、東京
将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements)
このニュースリリースには、バイエルの経営陣による現在の試算および予測に基づく将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements) が含まれている場合があります。さまざまな既知・未知のリスク、不確実性、その他の要因により、将来の実績、財務状況、企業の動向または業績と、当文書における予測との間に大きな相違が生じることがあります。これらの要因には、当社のWebサイト上(www.bayer.com)に公開されている報告書に説明されているものが含まれます。当社は、これらの将来予想に関する記述を更新し、将来の出来事または情勢に適合させる責任を負いません。
