本資料は2月25日にドイツ・バイエル社が発表したプレスリリースを日本語に翻訳したもので、報道関係者各位へ参考資料として提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語を優先します。原文はwww.press.bayer.comをご参照ください。

 

2020年度

バイエル、パンデミックにもかかわらず力強い業績を上げる ― 将来の成長に向けた基盤を整備

為替のマイナス影響19億41百万ユーロ(為替・ポートフォリオ調整後:0.6パーセント増)を受けて、グループ売上高は414億ユーロ / 特別項目計上前EBITDAは前年と同水準の114億61百万ユーロ(0.1パーセント減) ― 厳しいコスト管理により為替の影響は相殺 / クロップサイエンス部門および医療用医薬品部門は安定した業績を報告、コンシューマーヘルス部門は力強い成長 / 1株あたりコア利益は6.39ユーロ(0.2パーセント増) / 訴訟引当金および減損の影響を受けて、1株あたり利益はマイナス10.68ユーロ(2019年:プラス4.17ユーロ) / 純金融負債は11.8パーセント改善されて、300億41百万ユーロ /     1株あたり2.00ユーロの配当提案(2019年:2.80ユーロ) / ポートフォリオとイノベーションを強化 / 2021年業績予測:好調な機運と業績の堅実な成長 ― 為替変動の影響を除いたベースでは安定した利益

ドイツ レバクーゼン、2021年2月25日 ― バイエルグループは2020年、力強い業績を上げました。ドイツ・バイエル社社長ヴェルナー・バウマンは、25日に行われた決算報告において「このような変化の激しい時代における私たちの経営面の力強さは、パンデミックのさなかでも、私たちの事業にいかに回復力があるかを示しています。また、昨年度は将来の成長に向けた基盤を整備するための1年でもありました。私たちは当社の変革を推進し続け、製品パイプラインを前進させ、また全事業部にわたって新たなテクノロジーに投資しました」と述べました。バイエルは2021年に、業績の堅実な成長と、為替変動の影響を除いたベースでの安定した利益の達成を見込んでいます。


 バイエルは2020年、医療用医薬品部門単独で25件を超える買収・提携契約を締結しました。最大の買収はAsklepios BioPharmaceuticals社(以下、AskBio社)です。バウマンは「私たちはAskBio社とBlueRock Therapeutics社によって細胞・遺伝子治療のプラットフォームを構築し、この非常に有望かつ急成長分野における、私たちの新たなリーダーシップをさらに強固にしています」と説明しました。バウマンは、バイエルが2020年にパーソナライズ栄養補助食品を含むその他の領域のイノベーションにも体系的に投資し、コンシューマーヘルス部門のためにCare/of社の過半数株式を取得したと述べました。さらに、クロップサイエンス部門は、パイロット・プロジェクトの一環として丈の低い新種のトウモロコシである「VitalaTM」をメキシコで発売したと述べました。


 パンデミックが始まって以来、バイエルはそのすべての拠点において広範囲にわたる安全対策を導入し、また社員の在宅勤務を支援してきました。バウマンは「私たちは当然ながら、世界中の約10万人の社員に対する責任に加えて、特に顧客、患者さん、農業従事者の方々にとって不可欠の製品やサービスを供給することを、常に最大の重点項目としています」と述べ、さらに全社員がこれに尽力してきたことを強調しました。バウマンは「当社の社員は、パンデミック以来、強いイニシアチブを示して、その役割を果たすためにできることを行ってきました」と述べています。バイエルはさらに、新型コロナウイルス感染症に対する取り組みの一環として、ドイツのバイオ医薬品企業CureVac社と広範なパートナーシップを締結しました。バウマンは「私たちは、CureVac社のワクチンの臨床試験と承認プロセスを支援することを最初の重点項目としています」と説明し、また「これと同時に、私たちがなるべく早くワクチン製造も支援することができるよう、ヴッパータールおよび私たちの世界中の製造ネットワークにおいて、準備を進めています」と述べました。

 グループ売上高は前年と同水準(為替・ポートフォリオ調整後)
2020年のグループ売上高は414億ユーロに上りました。為替およびポートフォリオの影響の調整後(以下「為替・ポートフォリオ調整後」)では、売上高は前年と同水準(0.6パーセント増)でした。特別項目計上前EBITDAは114億61百万ユーロであり、やはり前年と同水準(0.1パーセント減)となりました。為替の影響は売上高を19億41百万ユーロ、特別項目計上前EBITDAを7億41百万ユーロ減少させました。EBITは、特別項目の純損失額232億64百万ユーロ(2019年:28億13百万ユーロ)の考慮後で、マイナス161億69百万ユーロ(2019年:プラス41億62百万ユーロ)でした。特別損失は、特に、グリホサート、Dicamba、PCBおよび「EssureTM」訴訟において達した合意に関する引当金から成るものでした。その他の特別損失には、主に、クロップサイエンス部門における減損費用が含まれています。当期純損益はマイナス104億95百万ユーロ(2019年:プラス40億91百万ユーロ)でした。一方、継続事業からの1株あたりコア利益は前年と同水準の6.39ユーロ(0.2パーセント増)でした。バウマンは「為替のマイナス影響を除くと、1株あたりコア利益は7ユーロ弱となり、パンデミック前に設定した目標とほぼ同水準となります」と述べました。


 ドイツ・バイエル社経営委員会と監査役会は、2021年4月27日の年次株主総会に対し、2020年度に関して配当受給権のある株式1株あたり2.00ユーロ(2019年度:2.80ユーロ)の配当金支払を提案する予定です。したがって当社は、以前発表した1株あたりコア利益の30パーセントから40パーセントを分配するという配当方針を維持しており、本年の配当提案はこの範囲の下端に位置しています。配当受給権のある株式は982.42百万株であり、配当金支払総額は19億65百万ユーロ(2019年度:27億51百万ユーロ)となります。


 2020年のフリー・キャッシュフローは訴訟を解決するための40億ユーロ弱の支払いから影響を受け、13億43百万ユーロ(2019年:42億14百万ユーロ)となりました。さらに、バイエルは純金融負債を前年比11.8パーセント減の300億41百万ユーロまで減少させました。事業からの多くの現金創出により、これら2つの指標の実績は、修正後の業績予測における予想を上回りました。

 

クロップサイエンス部門は中南米地域およびアジア・太平洋地域での成長により売上高増(為替・ポートフォリオ調整後)を記録


 バイエルは農業関連事業(クロップサイエンス部門)において、売上高を1.3パーセント増(為替・ポートフォリオ調整後)の188億40百万ユーロまで増加させました。中南米地域およびアジア・太平洋地域の事業が増加に寄与した一方で、特に北米地域では減少しました。売上高の成長は殺菌剤(為替・ポートフォリオ調整後:8.5パーセント増)およびエンバイロサイエンス(為替・ポートフォリオ調整後:11.5パーセント増)において特に力強く、これらの事業はすべての地域で拡大しました。殺菌剤では、バイエルは2019年に発売された「Fox XproTM」により、中南米地域で売上高の増加を計上しました。大豆種子および形質でも売上高が増加しました(為替・ポートフォリオ調整後:2.3パーセント増)。中南米地域の市場により浸透したことがプラスの影響を及ぼした一方で、北米地域の事業では、主に競争の激化により、販売価格と販売量が低下しました。トウモロコシ種子および形質の売上高は前年と同水準(為替・ポートフォリオ調整後:0.5パーセント減)を維持しました。北米地域では、2019年および2021年への需要のシフトがマイナスの影響を及ぼした一方で、その他すべての地域では売上高が増加しました。除草剤の売上高は、特にヨーロッパ・中東・アフリカ地域および北米地域において登録を(いくつかのケースでは一時的にのみ)失効したため、1.0パーセント(為替・ポートフォリオ調整後)減少しました。


 クロップサイエンス部門の特別項目計上前EBITDAは、3.8パーセント減の45億36百万ユーロに減少しました。事業は特に為替のマイナス影響5億37百万ユーロの影響を受けた一方で、需要のシフトによる北米地域における売上高の減少も重要な要因となりました。これに対し、利益は当社が買収した事業の統合を進めるにつれて、コスト・シナジーの実現による恩恵を受けました。


 米国でのグリホサート訴訟に関して、当社は、2021年2月初旬に、将来発生し得る「ラウンドアップ®」訴訟への対処および解決を意図するクラス・プランについて原告代理人と合意に達したことを発表し、原告代理人はクラス合意の仮承認の申立てを行いました。両当事者は、将来発生し得る「ラウンドアップ®」訴訟について裁判所が昨夏、最初の和解提案を行った後に提起した問題への対処に熱心に取り組んできました。新たな合意は現在、裁判所の承認を必要としています。クラス・プランは、モンサント社の「ラウンドアップ®」訴訟のさらなる終結を目的とする全体的な解決策の一部となることが意図されています。「ラウンドアップ®」訴訟全体で約90,000件に上る現在の請求は、和解合意の対象となっているか、または和解プログラムの資格基準を満たしませんでした。当社は、現在残っている訴訟において合意に達するため、原告代理人との交渉を続けています。

 

医療用医薬品部門は売上高の減少にもかかわらず利益が増加


 医療用医薬品部門の売上高は、1.5パーセント減(為替・ポートフォリオ調整後)の172億43百万ユーロに減少しました。この減少は、新型コロナウイルス感染症に伴う世界的な制限により、特に上半期において緊急性の低い治療の数(特に眼科および婦人科領域)が減少したことを原因とするものでした。医療機関の状況は年度半ばには正常化し始めました。画像診断事業では、感染対策の厳格化が年間を通じて検査のスループットを低下させ、売上高の減少につながりました。さらに、中国で導入された新たな入札手続の実施は「グルコバイ®」および「アベロックス®」の売上高を大きく圧迫しました。


 経口抗凝固剤「イグザレルト®」の売上高は、中国における販売量の著しい増加と、ヨーロッパ地域における大幅な成長により、12.4パーセント(為替・ポートフォリオ調整後)増加しました。「スチバーガ®」も、特に中国と米国において、売上高の大幅な増加(為替・ポートフォリオ調整後:18.6パーセント増)を記録した製品の一つとなりました。パンデミックが続く中で医療機関の外でも治療を継続できる経口投与が、この抗悪性腫瘍剤の売上高の増加の一因となりました。眼科用VEGF阻害剤「アイリーア®」の売上高は、上半期に見られた売上高の低下が下半期になって相殺されたため、前年と同水準(為替・ポートフォリオ調整後:0.2パーセント増)となりました。パンデミックの影響は、子宮内黄体ホルモン放出システム「ミレーナ®」「KyleenaTM」「JaydessTM」(為替・ポートフォリオ調整後:8.7パーセント減) ― 処置数の減少による ― および抗悪性腫瘍剤「ゾーフィゴ®」(為替・ポートフォリオ調整後:11.6パーセント減)の事業も圧迫し、米国において特に著しい減少を記録しました。


 医療用医薬品部門の特別項目計上前EBITDAは、厳しいコスト管理と肺高血圧症治療剤「アデムパス®」に関するマイルストーン報酬により、売上高の微減や1億32百万ユーロに上る為替のマイナス影響にもかかわらず利益成長が可能となり、2.6パーセント増の60億16百万ユーロに増加しました。

 

コンシューマーヘルス部門はすべての地域で成長(為替・ポートフォリオ調整後)を計上


 セルフケア製品(コンシューマーヘルス部門)の売上高は5.2パーセント増(為替・ポートフォリオ調整後)の50億54百万ユーロに増加しました。同部門の業績は市場を上回り、すべての地域で成長が報告されました。新型コロナウイルス感染症のパンデミックに関連する健康と安全への注目の高まりは需要の著しい成長を生み出し、特に栄養補助食品領域では売上高が22.6パーセント(為替・ポートフォリオ調整後)増加しました。売上高は解熱鎮痛薬および循環器領域、皮膚科領域ならびに胃腸薬領域でも増加しました。同時に、安全・衛生対策の強化は咳および感冒薬の売上高の減少につながり、アレルギー薬および感冒薬領域は4.1パーセント(為替・ポートフォリオ調整後)の減少を記録しました。


 コンシューマーヘルス部門の特別項目計上前EBITDAは、2.5パーセント減の11億14百万ユーロに減少しました。69百万ユーロに上る為替の影響、2019年に売却した事業からの貢献がなかったこと、および新型コロナウイルス感染症に関連するコストの増加が、マイナスの影響を及ぼしました。利益は主として売上高の大幅な増加(為替・ポートフォリオ調整後)と、2018年末に開始した効率性プログラムからの貢献の恩恵を受けました。

 

サステナビリティ目標に関する進展
 

 グループの非財務目標について、バイエルは、2030年の野心的なサステナビリティ目標の達成に向けた2020年の進捗状況を報告しました。このサステナビリティに関する目標は人々の健康と地球を中心に置き、気候保護を特に重視したものです。また、25日に発行されたサステナビリティ報告書は、これらの面を詳細に考察しています。昨年、バイエルは、国連の持続可能な開発目標に基づく行程表を策定し、その実施に向けた措置を講じました。独立した「The Science Based Targets」イニシアチブでは、バイエルの気候保護目標を検討し、地球温暖化を1.5℃に抑え、パリ協定を実現するために、当社の排出量削減が役割を果たしていることが確認されました。例えば、バイエルはすでにスペインとメキシコにおいてグリーン電力への100パーセントの切り替えを行っています。当社はさらに、気候保護への取り組みの一環として、米国とブラジルにおいて、農業従事者が気候に配慮した工程を導入し、CO2の回収・貯留によって商業利益を得ることを促進するパイロット・プロジェクトを開始しました。


 当社は、より多くの低所得者を支援するという目標に沿って、例えば「Better Farms, Better Lives」プログラムを立ち上げました。このプログラムの下に、例えば1.5百万人を上回る小規模生産者に、現代的な農薬製品へのアクセスを提供しています。また、バイエルは「The Challenge Initiative」と協力し、アフリカに住む女性や女児のために、家族計画やリプロダクティブヘルスの分野におけるソリューションへの支援を提供しています。
 

 社外のサステナビリティ評議会の設立は、もう一つの重要なステップを示すものです。さらに、サステナビリティ目標の達成度が、経営委員会メンバーおよびその他管理職の長期変動報酬の決定に組み込まれており、2021年からは、その成功要因において20パーセント加重されます。このことは、当社におけるサステナビリティ目標の重要性を強調するものです。

 

業績予測:バイエルは売上高の成長(為替・ポートフォリオ調整後)を目標


 バイエルは、2021年に関する以下の為替調整後業績予測を公表しました。当社は、約420億ユーロから430億ユーロの売上高の計上を予測しています。これは約3パーセント(為替・ポートフォリオ調整後)の増加に相当します。また、約27パーセントの特別項目計上前EBITDAマージンを生み出すものと予測しています。これは、112億ユーロから115億ユーロの特別項目計上前EBITDAに相当します。バイエルは、約6.10ユーロから6.30ユーロの1株あたりコア利益を生み出す計画です。フリー・キャッシュフローはマイナス30億ユーロからマイナス40億ユーロの間となる見込みです。この数値は、訴訟解決のための支払金、約80億ユーロのマイナス影響が見込まれることを考慮しています。当社はまた、2021年12月31日における純金融負債が約360億ユーロから370億ユーロになると予測しています。


 2020年12月31日時点の為替レートを適用すると、2021年にバイエルは、約410億ユーロの売上高、約26パーセントの特別項目計上前EBITDAマージン、したがって105億ユーロから108億ユーロの特別項目計上前EBITDA、そして約5.60ユーロから5.80ユーロの1株あたりコア利益を計上すると予測しています。これに基づき、フリー・キャッシュフローはマイナス30億ユーロからマイナス40億ユーロ、純金融負債は350億ユーロから360億ユーロとなる見込みです。


注記:

下記の表には、2020年通年および第4四半期のバイエルグループおよび各部門の主要データが含まれています。また、完全な2020年の年次報告書はインターネット(www.bayer.com/annualreport)から、2020年のサステナビリティ報告書はwww.bayer.com/sustainability-reportから入手可能です。

 

バイエルについて

バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。その製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じ重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し事業を通じて良い影響を創出することに尽力します。同時に、収益力を高め、技術革新と成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。グループ全体の売上高は414億ユーロ、従業員数は100,000名(2020年)。特別項目計上前の研究開発費は49億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。

 

将来予想に関する記述 Forward-Looking Statements

このニュースリリースには、バイエルの経営陣による現在の試算および予測に基づく将来予想に関する記述 Forward-Looking Statements が含まれている場合があります。さまざまな既知・未知のリスク、不確実性、その他の要因により、将来の実績、財務状況、企業の動向または業績と、当文書における予測との間に大きな相違が生じることがあります。これらの要因には、当社のWebサイト上(www.bayer.com)に公開されている報告書に説明されているものが含まれます。当社は、これらの将来予想に関する記述を更新し、将来の出来事または情勢に適合させる責任を負いません。