本資料は2月27日にドイツ・バイエル社が発表したプレスリリースを日本語に翻訳したもので、報道関係者各位へ参考資料として提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語を優先します。原文はwww.press.bayer.comをご参照ください
バイエル、売上高と利益が増加 ― 買収後、農業分野のリーダーに
- グループ売上高は前年比4.5パーセント増(為替・ポートフォリオ調整後)の395億86百万ユーロ
- 特別項目計上前EBITDAは前年比2.8パーセント増の95億47百万ユーロ、為替効果4億57百万ユーロにより押し下げられる
- 医療用医薬品部門は売上増(為替・ポートフォリオ調整後)を計上、利益は微減
- コンシューマーヘルス部門:売上高は前年と同レベル(為替・ポートフォリオ調整後)、利益は減少
- クロップサイエンス部門は買収による売上高の増加および利益の大幅な増加を報告、統合は力強いスタートを切る
- グリホサートに関する肯定的側面は変わらず ― バイエルは訴訟に対して力強く弁護
- 当期純利益は一時的効果の影響で16億95百万ユーロ
- 1株あたり中核利益は予想を上回る5.94ユーロ
- 純金融負債は356億79百万ユーロで、予想より大幅に改善
- バイエルは2019年のグループ業績予測および2022年の目標を確認
ドイツ レバクーゼン、2019年2月27日 ―バイエルは、会社史上最大の買収を成功裏に完了し、また2018年の業績目標を達成した。ドイツ・バイエル社社長ヴェルナー・バウマンは、水曜日にレバクーゼンで行われた決算発表において「私たちは、将来に向けて、正しい道筋を定めました」と述べた。2018年中、グループの売上高および利益は増加した。為替およびポートフォリオの影響調整後(以下「為替・ポートフォリオ調整後」)では、クロップサイエンス部門および医療用医薬品部門は前年比で売上高の増加を記録した。一方、コンシューマーヘルス部門の売上高は前年と同レベルであった。バイエルは、2019年の業績予測および2022年の目標を確認した。
バウマンは「私たちはこの数年にわたり、医療および農業分野のメガトレンドに明確に合致し、かつバイエルという強力なブランドの下に統一された、ライフサイエンスを中核とする企業を目指して組織的に進化してきました。農業分野における買収は、私たちを同市場でNo.1の地位に押し上げました。2社の統合は素晴らしいスタートを切りました」と述べた。
昨年講じられたもう一つの重要な措置は、11月末に発表された、一連のポートフォリオ、効率性および組織構造対策を通じて当社の強化を目指すという決定である。バウマンは「これらの対策により私たちはより集中的、効率的で、機敏かつ競争力の高い企業となるでしょう」と述べた。ポートフォリオ対策には、特に、動物用薬品事業、またコンシューマーヘルス部門の2ブランド「Coppertone™ 」と「Dr. Scholl’s™ 」から撤退するとの決定を含んでいる。バイエルは、ドイツにおけるサイトサービス会社であるカレンタ社(以下「カレンタ」)の60パーセントの株式持分の売却も計画している。
バウマンは「2018年、厳しい市場・為替環境に直面しながらも、私たちは再び、売上高と利益を増加させることができました」と述べた。グループ売上高は4.5パーセント増(為替・ポートフォリオ調整後)の395億86百万ユーロに増加した。報告ベースでは、売上高は13.1パーセント増加した。特別項目計上前EBITDAは、為替のマイナス効果が買収前のバイエルの事業の利益を4億57百万ユーロ押し下げたにもかかわらず、2.8パーセント増の95億47百万ユーロに増加した。EBITは、特別損失25億66百万ユーロ(2017年:12億27百万ユーロ)の計上後で、33.7パーセント減の39億14百万ユーロに減少した。これらの特別損失は主に、減損損失(約33億ユーロ)や、買収した事業に関連する特別損失(約20億ユーロ)によるものであった。これらの損失は、事業売却からの一時的な特別利益約41億ユーロにより一部相殺された。
当期純利益は76.9パーセント減少して16億95百万ユーロとなった。これは、前年の数値にコベストロの連結除外に関連する利益が含まれていたことが一因である。継続事業からの1株あたり中核利益は、予想を上回る5.94ユーロであった(-10.5パーセント)。前年に比べて減少したのは、ポートフォリオの変更と財務活動のためであり、米国モンサント社(以下「モンサント」)買収に関する資金調達コストが、買収した事業からの利益貢献(季節変動要因により前年を下回った)を減殺した。さらに、2018年第2四半期に行った株式発行の結果、バイエルの株式数は大幅に増加した。
フリー・キャッシュフローは17.4パーセント増の46億52百万ユーロに増加した。純金融負債は前年から約320億ユーロ増加して、2018年12月31日現在で356億79百万ユーロとなった。CFOのヴォルフガング・ニックルは「モンサント買収による増加の後、私たちはすでに予想を上回る速さで負債を削減したことを喜んでいます」と述べた。
医療用医薬品部門では売上高が増加(為替・ポートフォリオ調整後)、特に中国において力強い成長
処方薬(医療用医薬品部門)の売上高は、3.4パーセント増(為替・ポートフォリオ調整後)の167億46百万ユーロに増加した。バウマンは「全体として、これは主に中国における大幅な成長と、私たちの主要な成長製品の力強い業績の継続によるものです」と述べた。経口抗凝固剤「イグザレルト®」、眼科用VEGF阻害剤「アイリーア®」、抗悪性腫瘍剤「スチバーガ®」および「ゾーフィゴ®」ならびに肺高血圧症治療剤「アデムパス®」の売上高は、13.5パーセント増加(為替・ポートフォリオ調整後)して68億38百万ユーロとなった。「イグザレルト®」の事業は、ヨーロッパ、中国およびカナダにおける販売量の増加が主因となり、12.8パーセント増加した(為替・ポートフォリオ調整後)。「アイリーア®」の売上高は、ヨーロッパ、日本およびカナダにおける販売量の増加に支えられて、19.6パーセント増加した(為替・ポートフォリオ調整後)。「アデムパス®」は、米国における販売量の拡大に牽引されて、24.1パーセント(為替・ポートフォリオ調整後)と、最も力強い売上高の増加を記録した。「ゾーフィゴ®」の売上高は、米国およびヨーロッパにおける需要の減少が主因となり、10.3パーセント減少した(為替・ポートフォリオ調整後)。
その他の売上上位の医療用医薬品の中で最も力強い成長を記録したのは、食後過血糖改善剤「グルコバイ®」であった。中国における販売量の力強い拡大により、売上高は13.8パーセント増加した(為替・ポートフォリオ調整後)。一方、多発性硬化症の再発予防・進行抑制剤「ベタフェロン®」「Betaseron™ 」の売上高は、米国における競争の激しい市場環境の結果、13.0パーセント減少した(為替・ポートフォリオ調整後)。さらに、「アダラート®」や「Aspirin™ Cardio」といった同部門のエスタブリッシュ製品の一部が一時的に供給停止となったことも、予想通り売上高を圧迫した。
医療用医薬品部門の特別項目計上前EBITDAは、2.0パーセント減の55億98百万ユーロに減少した。ただし、為替の影響調整後では、利益は2.5パーセント増加した。これは主として販売量の大幅な拡大 - 特に「イグザレルト®」および「アイリーア®」 - と、ジョンソン・エンド・ジョンソン社の子会社との共同開発から得た約1億90百万ユーロの利益によるものであった。利益は主に売上原価の増加、一時的な供給停止の影響および販売費の増加によって押し下げられた。
コンシューマーヘルス部門は中南米地域およびアジア・太平洋地域で売上高が増加(為替・ポートフォリオ調整後)
コンシューマーヘルス部門の売上高は、前年と同レベルの54億50百万ユーロ(為替・ポートフォリオ調整後:-0.7パーセント)であった。バウマンは「私たちの一般薬事業にとって、2018年は困難な年となりました。私たちは、この急速に変化する市場環境の中で成功を収めるために、一連の戦略的対策を開始しました」と述べた。中南米地域およびアジア・太平洋地域において、為替およびポートフォリオ調整後ベースで事業は上向いた。一方、北米地域およびヨーロッパ・中東・アフリカ地域では売上高は減少した。一時的な供給困難も、予想通りコンシューマーヘルス部門の売上高を押し下げた。
プレナタルビタミン「エレビット®」の事業は、アジア・太平洋地域およびヨーロッパ・中東・アフリカ地域における力強い需要の継続および製品ラインの拡大が主因となり、16.9パーセント拡大した(為替・ポートフォリオ調整後)。同部門では、便秘治療薬「MiraLAX™ 」(為替・ポートフォリオ調整後:+12.4パーセント)および外傷治療・スキンケア製品「Bepanthen™ 」「Bepanthol™ 」(為替・ポートフォリオ調整後:+3.0パーセント)も、売上高の増加を記録した。抗ヒスタミン剤「クラリチン®」の売上高は、主要な販売市場である米国の事業が、同市場セグメントにおける低需要シーズンとなったことと競争激化の影響を受けたことが主因となり、前年比で6.3パーセント減少した(為替・ポートフォリオ調整後)。抗真菌剤「Canesten™ 」の売上高は、一時的な供給停止の結果、8.2パーセント減少した(為替・ポートフォリオ調整後)。
コンシューマーヘルス部門の特別項目計上前EBITDAは、11.0パーセント減の10億96百万ユーロに減少した。為替の影響調整後では、利益は2017年を5.5パーセント下回った。この減少の主な要因は、販売量の減少と、主に非中核ブランドの売却に関連する一時的利益の減少であった。販売費および一般管理費の減少は、これらの影響を一部相殺するにとどまった。
クロップサイエンス部門では買収により売上高と利益が大幅に増加
農業関連事業(クロップサイエンス部門)において、バイエルは142億66百万ユーロの売上高を記録した。買収した事業は、このうち約53億ユーロを占めた。一方、BASF社(以下「BASF」)に売却した事業は、2018年8月に各取引がクロージングとなる前に、15億ユーロの貢献をもたらした。売上高は為替およびポートフォリオ調整後ベースで6.1パーセント増加したが、これは主に、ブラジルにおいて農薬製品の在庫が正常化した結果である。ブラジルでは、この関連で必要となった対策により、前年の事業が影響を受けていた。売上高はアジア・太平洋地域および北米地域でも上向いた(為替・ポートフォリオ調整後)。バイエルは、売却した事業に関連するBASFとのサービス契約 - 特に製品供給・販売契約 - からも利益を受けた。ヨーロッパでは、不利な天候条件と、特定のシードグロース(種子処理)製品に影響を与えるフランスの規制変更により、売上高が減少した。
クロップサイエンス部門の売上高は、モンサント買収とそれに関連する事業売却が2017年1月1日付ですでに行われていたと仮定して売上高を提示した試算ベースでは、3.1パーセント増加した(為替の影響調整後)。これは、除草剤、殺菌剤、殺虫剤ならびにトウモロコシ種子および形質における成長によるものである。一方、大豆種子および形質の事業は前年と同レベルであった。これに対して、エンバイロサイエンス事業では、2016年に売却した一般消費者向け事業の売却先に対する計画通りの出荷減が主因となり、売上高は減少した。
クロップサイエンス部門の特別項目計上前EBITDAは、29.8パーセント増の26億51百万ユーロに増加した。この増加は、新たに買収した事業からの利益貢献(7億5百万ユーロ)と、2017年第2四半期にブラジルにおいて非常に高い返品引当金を認識したことが一因である。これは、BASFに売却した事業からの案分による前年の利益貢献を減殺した。ヨーロッパにおける販売量の減少および買収前のバイエルの事業に関する為替のマイナス効果1億1百万ユーロも利益を押し下げた。
2019年1月28日現在、農薬製品のグリホサートに関連して、米国において、約11,200名の原告からの訴訟が提起されている。バウマンは「私たちは、ジョンソン裁判における第一審裁判所の判断に不同意であり、したがって上訴しました」と述べた。また、その他の訴訟(そのうち7件は現在、今年中に予定されている)についても「当方には科学の裏付けがあり、現代の持続可能な農業にとって重要かつ安全なこの除草剤を引き続き力強く弁護し続けていきます」と付け加えた。
動物用薬品事業は、4地域のうち3つで成長(為替・ポートフォリオ調整後)
2018年、動物用薬品事業の売上高は、前年と同レベル(為替・ポートフォリオ調整後:+0.5パーセント)の15億1百万ユーロとなった。ヨーロッパ・中東・アフリカ地域を除くすべての地域で事業が拡大した(為替・ポートフォリオ調整後)。首輪型ノミ・マダニ駆除剤「Seresto™ 」の売上高は28.5パーセントの大幅な増加(為替・ポートフォリオ調整後)となった。一方、ノミ・マダニ駆除剤「アドバンテージ®」製品群の事業は、前年比で9.3パーセント減少した(為替・ポートフォリオ調整後)。特別項目計上前EBITDAは6.0パーセント減少して3億58百万ユーロとなった。ただし、為替の影響調整後の利益は前年と同レベル(+0.8パーセント)であった。売上原価の増加および新たな財務報告基準(IFRS第15号)の適用による売上高と利益への悪影響は、販売費の減少およびその他の要因により相殺された。
バイエルは短中期の成長目標を確認
バイエルは、2018年12月5日のキャピタル・マーケット・デーに合わせて発表した2019年の業績予測および2022年の中期目標を確認した。2019年について、当社は、売上高は約460億ユーロになると予測している。これは約4パーセントの増加(為替・ポートフォリオ調整後)に相当する。バイエルは、特別項目計上前EBITDAを約122億ユーロ(為替の影響調整後)に増加させることを目指している。一方、1株あたり中核利益は約6.80ユーロ(為替の影響調整後)まで増加すると見られている。これらの目標は、為替レートの変動や、動物用薬品事業からの撤退、コンシューマーヘルス部門の2ブランド「Coppertone™ 」と「Dr. Scholl’s™ 」の売却、そしてドイツにおけるサイトサービス会社カレンタの60パーセントの株式持分の売却計画は考慮に入れていない。
クロップサイエンス部門について、バイエルは、2019年の売上高は約4パーセント増加する(為替・ポートフォリオ調整後)と見ており、また特別項目計上前EBITDAマージンは約25パーセントと予測している。医療用医薬品部門については、バイエルは、売上高は約4パーセント増加し(為替・ポートフォリオ調整後)、特別項目計上前EBITDAマージンは約34パーセントに上昇すると予測している。コンシューマーヘルス部門については、当社は、売上高を約1パーセント増加させ(為替・ポートフォリオ調整後)、約21パーセントの特別項目計上前EBITDAマージンを達成することを目指している。動物用薬品事業についても、バイエルは、売上高は約4パーセント増加する(為替・ポートフォリオ調整後)と予測しており、また、約24パーセントの特別項目計上前EBITDAマージンを達成することを目指している。
注記:
下記の表には、2018年通年および第4四半期のバイエルグループおよび各セグメントの主要データが含まれている。また、完全な2018年の年次報告書はインターネット( www.annualreport2018.bayer.com )から入手可能。
バイエルグループ主要データ、2018年第4四半期および通年
(継続事業 - 前年の数値は修正再表示されている。)
バイエルについて
バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。その製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活に貢献しています。同時に、収益力を高め、技術革新と成長を通して企業価値を創造することも目指しています。また、バイエルは、持続可能な発展に尽力し、バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。グループ全体の売上高は396億ユーロ、従業員数は117,000名(2018年)。設備投資額は26億ユーロ、研究開発費は52億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。
将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements)
このニュースリリースには、バイエルの経営陣による現在の試算および予測に基づく将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements) が含まれています。さまざまな既知・未知のリスク、不確実性、その他の要因により、将来の実績、財務状況、企業の動向または業績と、当文書における予測との間に大きな相違が生じることがあります。これらの要因には、当社のWebサイト上(www.bayer.com)に公開されている報告書に説明されているものが含まれます。当社は、これらの将来予想に関する記述を更新し、将来の出来事または情勢に適合させる責任を負いません。
バイエル ホールディング株式会社
2019年3月6日、東京